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黒い看護婦
【OL/お姉さん 官能小説】

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黒い看護婦7-2

「痛いよぉ」
僕はちょっと苦笑いを浮かべながら樹里さんの身体を押さえこもうとした。
もちろんお乳やお尻を触る様にだ。
折角のプロレスごっこだ、それくらいの反撃はしておかないと。
でも僕の手を掻い潜った樹里さん。
「フー!フー!」
興奮してるのかぁ。
怒った猫の様な息を吐いて目をギラギラさせてる。
そして…。
至近距離からのラリアート。
「うぐっ!」
避けようとした僕の鼻梁に直撃。
物の見事に後ろにひっくり返る僕。
ガキッ!!
「あぎゃ!」
しこたま後頭部を床に打ち付けて…目の前が暗くなっていった。

「いてぇぇぇ」
ズキズキと痛む後頭部の痛みを感じて目を覚ますと。
廊下とは違う明るい光が僕の視界に飛び込んできた。
此処は?……ん?
此処が何処かとか考える前に僕の手を握る暖かい感触を感じた。
「大丈夫?」
声の方を見ると…。
褐色の顔、グレーの大きな瞳を今にも泣きそうに歪めた樹里さんが僕の手を握っていた。
「う…うん」
僕は後頭部の痛みを押してニッコリと微笑んだ。
冷静に考えれば、こうなったのは樹里さんのせいだけど。
そんな事は関係なく。
樹里さんが僕の手を握り心配していた事が重要で。
天にも昇る程、僕を舞い上がらせていた。
「タ…タカチンが悪いんだぞ…反撃するから」
何とも樹里さんらしいセリフだけど。
その声はグスグスと鼻にかかっている。
やばい!めちゃくちゃズキュンときた。
「ごめんね…樹里さん」
僕は樹里さんの手をしっかり握りながら。
もう一度、樹里さんにニッコリと微笑みかけた。
「よかったぁ…うえぇぇぇん…よかったぁ」
褐色の顔をクチャクチャにして涙と鼻水を流しながらピーピー泣き出す樹里さん。
そして寝たままの僕の顔を抱きしめてきた。
「樹里さん…」
僕は後頭部が少し痛んだけど…。
そんな事はどうでも良かった。
僕は生まれて初めて結婚したいって思える人と出会っていた。

僕が寝ていたのは第二処置室だった。
廊下で頭を打って、鼻血まで出している僕。
慌てて運び込まれた様だった。
もっとも鼻血の原因を樹里さんのラリアートだけど。
ただ朦朧とする中、僕は診察を受けて。
軽い脳震盪と診断されたらしかった。
そして看護師が一人、付き添う事になったらしいのだが。
立候補したのが樹里さんとの事だった。
何とも幸せな気分で樹里さんの説明を聞き終えた僕。
その直後だった。
「へ…っくちん!へっく!へっくちん」
鼻に受けたダメージのせいか…。
薄ら寒い室内のせいか。
続けざまに数回のクシャミが出た。
「寒いの?タカチン」
まだちょっと鼻声の樹里さん。
異常な程、優しい。
いやぁぁぁ…脳震盪を起こして本当に良かった。
と思いながら。
「ちょっと寒いなかぁ」
ついつい今日はいつも以上に甘えてしまう。


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