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てき屋のマコ
【コメディ 官能小説】

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てき屋のマコ3-1

ビーチ・エンジェルス

事務所で震えている娘。
近くの高校に通う三年生の武藤マドカちゃんと言った。
鵠が浜海岸には学校の友達と来ていたとの事だったが。
その友達に知らせるかどうか。
誠司は考え込んでいた。
デリケートな問題だけに迂闊な事は出来なかった。
「じゃあ…貧血で倒れて病院に運ばれったってのは?」
マコも出来る限りの知恵を絞った。
「そうですね!」
マコにしてはいいアイデアに誠司の顔が輝く。
マドカちゃんも異存はない様であったが…。
一緒に来た友達に黙っている訳にもいかない。
荷物等の問題もある。
「ちょっと探しに行きたいのですが…」
誠司は友達を探しだし、伝言を伝えてくる気の様だ。
「是非そうしてやってくだせぇ!マドカちゃんにぁアタシがついてりやす!」
やはりちょっと言葉遣いが妙なマコだったが…。
今は誠司の点数を稼ぐとか…は考えてもおらず。
損得勘定なしにマドカちゃんの事だけを考えていた。
「ありがとう…マコさん」
その思いは誠司にも伝わった様だ。
誠司はニッコリと微笑むと砂浜に向かって走って行った。
その背中を見送りながらマコは不意に恋心を思い出し。
“カッコいいよなぁ”
ニヤニヤとだらしない笑いを浮かべているマコ。
「あの〜」
そんなマコにマドカちゃんがオドオドと話しかけてきた。
「いっ!」
ハッと我に返ったマコ。
だらしない笑いをキリッとした笑いに変えるとマドカちゃんの方へと向き直った。
「なんだいですか?お…嬢ちゃん」
しかし実際のところは結構、緊張していた。
言葉にはその緊張がはっきりと表れいた。
マコの緊張の理由は…。
ツインテールにした艶々とした黒髪。
つぶらな瞳。
小さくて上品な口。
スッとしながらも柔らかそう頬。
そんなマドカちゃんの可憐さにあった。
学生時代から輩の様な連中と時間を過ごしてきたマコ。
マドカちゃんの様な純粋そうな女の子は正直、苦手だった。
苦手だったが…。
「あ…ありがとう…ございました」
無理して一生懸命、笑おうとしているマドカちゃんに。
持って生まれたマコの熱いハートはグラグラと揺さ振られていた。
だから…。
「き…気にしないで…いいですよ」
たどたど言葉遣いながらも心からの笑顔をマドカちゃんに向けた。
「でも…ほんとに…でも…」
マドカちゃんはさっきの恐怖を思い出したのだろうか。
そのつぶらな瞳にミルミル涙が滲み出てきた。
「マドカちゃん…」
マコの熱いハートは確固たる義侠心に変わった。
スクッと立ち上がるマコ。
静かにマドカちゃんの横に腰を下ろした。
「もう大丈夫だから…嫌な事は忘れちまいな」
しっかりとマドカちゃんの肩を抱き締めるマコ。
その声は限りなく優しかった。

母親が迎えに来てマドカちゃんは帰っていった。
マドカちゃんの友達に偽りの事情を話してきた誠司。
そしてマコが並んで見送った。
警察に届けを出すか、どうかはマドカちゃんの気持ちもある。
マドカちゃんと母親が話し合って決める事であった。
ただ…。
マコは固く心に誓う事があった。
「誠司さん…アタシは絶対に変態野郎を捕まえます」
静かにその決意を口にするマコ。
言葉遣いがおかしくなってはいない。
そして誠司は。
「マコさん…僕も!」
そんなマコを眩しげに見つめていた。


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