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援助交際
【学園物 恋愛小説】

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援助交際-2

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まだ2ヶ月前の俺は希望に溢れていた。
長年交際していた恋人にプロポーズし、式場を見に行こうと約束していたあの日までは−

帰ったら見知らぬ男がいて、この人と一緒になるとあいつが言い出した。
だが、はいそうですか、と簡単に精算できる物ではない。

最初は我慢していたが次第に腹が立ってきて、男共々作りおきの味噌汁に唐辛子を入れて飲ませるのを、気が済むまで繰り返した。

浮気していた事も許せないが、このタイミングで向こうからばらした事も許せなかった。
怒らないだろうと軽く見られてたと思うと、悲しくて遣り切れない。
あいつと、相手の男をパンツ一枚で放り出して、俺はベッドに倒れこんだ。

涙すら出ない程、俺の心は乾いていた−

裏切られるというのはいくつになろうと慣れないものだ。
寧ろ、歳食ってからの方が色々な感情が絡まり積み重なって、余計にダメージがでかくなる。
最初は相手を責めていても、時間が経つにつれて自分の事を責める様になる。

何が家族になろう、だ。
妻になるはずの相手の心をしっかり繋ぎ止めておく事も出来ず、よく言えたものだ。
まずスタート地点にすら立てないんじゃ話にならねえよ・・・・

翌日から俺はあいつの為に断っていた酒の封印を解き、食事の代わりに飲み続けた。
二日酔いが当たり前の状態になり酒の匂いをさせて勤務するのも躊躇わなくなり、どうでも良くなっていた。

だがいくら飲んでも心に残された傷が癒える事は無い。

子供は男の子と女の子がいいな、と俺の横で呟いたあの日、あいつの心はもうあの男のものだったのだろうか−


「先生、聞いてる?」
「やめろ、こら。そこは・・・おい、痛いだろ」
「生徒の真面目な相談を聞かないなんて、職務放棄だ。このダメ教師」

珍しく職員室にやってきた東宮は、これまた珍しく俺に相談を持ちかけてきた。

「お前が言うな、このダメ生徒。ふざけた髪の色しやがって、それにジャラジャラ飾りなんかつけてよ。目ぇつけられてんだぞ、お前は」
「飾りじゃない、アクセサリーだ。そっちこそふざけたもの生やして」

鼻を突いていた指が下りて、唇の上にある不精髭をガリガリと引っ掻いた。
その手を払い、ペットボトルの茶を流し込みながら東宮に告げる。

「悪いが、相談なら他の先生あたってくれ」

それを聞いた東宮が目を丸くした。
あしらってしまうのは仕方ない、今の俺に何が出来るだろうか。

・・・家族の事なんて結局は自分がどうにかするしか無いのだ。
どこぞのドラマの先生じゃあるまいし、実際一人の生徒の家庭にまで立ち入りなんざやっていい筈が無い。

「先生の言っていい言葉じゃないだろ。頼りにしてんだよ?」
「分かってるよ・・・・けど、悪いな。どうしていいか分からんのだ」
「専門外?そういうの」
「まあ、な。軽くない話ってのは苦手だ」

そう言って黙っていたら、東宮は立ち上がった。


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