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嘘つきな I LOVE YOU
【理想の恋愛 恋愛小説】

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嘘つきな I LOVE YOU-3

♪♪♪♪ ♪♪♪♪
「ごめんっ!会社からだ!」
私の携帯が、会社からの着信を知らせる。仕事はバッチリだったはずなのに。誰だろう?
携帯を持って席を立つ。

「はい。北川です。」
『あ、千優希先輩!伊藤です。』
「あぁ、伊藤くん。今、戻り?お疲れさま。」
『会議の資料、すみません。フォルダの中見ました。全部やってもらっちゃって…。ありがとーございます。』
「いーよ、いーよ。とりあえず間違いないか見直してね。」
『はいっ。ホント助かりました!ありがとーございます!今度うまい店、おごります。』
「はは。じゃ、楽しみにしてるね。それじゃ、もーちょっとがんばって見直ししてね。」
『はい!わかりました。お疲れさまです。』

後輩からの電話。携帯を閉じて席に戻ろうとして振り返ると、私のカバンを持ったケンボーが立っていた。


「次、行くってよ。柊司がカラオケ行くってうるさくってさ。」
ケンボーの手からカバンを受け取り、一緒に歩き出す。みんなは先に行ってしまったらしい。

何気ない話をしていても、ケンボーがすごく優しいのがわかる。
人にぶつからないよーに、ちゃんと守って歩いてくれる。歩幅も私に合わせてゆっくり歩いてる。


《好きだよ》
心の中でなら言えるケド――。
すっごく遠い!身長差30cmのこの距離……。


「千優希先輩!?」
後ろから聞き慣れた声。
振り返ると後輩の美香ちゃんが、友達らしき輪の中から外れて走ってきた。
「彼氏ですか?」
嬉しそーに私に擦り寄ってくる。
やめてやめて!否定される。わかってても、ケンボーの口からはっきり聞いたら、ヘコむ……。

「高校からの友達でね。ケンボーってゆーの。今、友達グループに置いてかれちゃってさ。」
「なーんだ。難攻不落の千優希先輩を落とした人がいるのかと思ったのに。」
美香ちゃんががっかりした様子で答える。
「…そんな。人を城みたいに…。」
ケンボー困ってるだろうな…。勘違いでも、私はうれしいけど。


「おまえさぁ〜…。いいかげん、ケンボーってゆーの、止めようぜ。」

美香ちゃんを後にして、歩きだしてすぐケンボーが、少し不満げに言った。
「はぁ?ケンボーはケンボーじゃん!いまさら藤木くんでもないでしょーが。」

10年間ケンボーと呼び続けてるのに、いまさらなんて呼べってゆーのよ。
健太郎?健ちゃん?
恥ずかしくて呼べるか―――っ!!!
「ま、べつにいいけどさ。」
呆れ顔でケンボーが言う。
べつにいいなら、なんで言うのよ!?なんなのよ〜っ!気になっちゃうじゃんっ!
立ち止まってムクれてると、ケンボーが振り返って頭をなでた。
「ほら、いくぞ。」
触れられたトコが熱い。
悔しいくらい、大好き―――。


ようやく亜由美たちに合流。
片想いの歌…気持ちを込めて歌っても、アイツはしらんぷり。

―――それでもケンボーは必ず隣に座る……。そーいえば、いつも隣。映画行っても、ご飯食べても、出掛ける時も。どこまでが親友のラインなの?ケンボーはみんなに優しいから、わかんないよ…。


帰りの駅。私とケンボーは同じ方向。改札でみんなと別れる。
飲みすぎちゃったかな?眠くなってきた。

「寝ていいぞ。着いたら起こしてやるから。」
ねむねむモードの私を見てケンボーが肩を指さして合図する。

ケンボーの肩にもたれかかって目を閉じる―――。


……少しだけ、甘えちゃお。たとえ、親友としての優しさでも。
この優しさを失うくらいなら、嘘つきな千優希のままでいいや。


このまま、ずっと。
意気地なしな…嘘つきのILOVEYOU―――


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