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嘘つきな I LOVE YOU
【理想の恋愛 恋愛小説】

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嘘つきな I LOVE YOU-2

「わりぃ!遅れた!」
息を切らせて入ってきたケンボーが、当たり前のよーに私の隣に座る。たったそれだけのことでも、私の鼓動は早くなる。

「走ってきたから、喉カラカラだよ。」
そう言ってケンボーは、私のカシスオレンジを一気飲みした。

当たり前にそーゆーことするよーになったのは、いつ頃からだっけ?
気付いたらこの距離だった。
近すぎて壊せない……
素直になれない……
ホントの気持ちは、隠したまんま。


新しくきたカシスオレンジを半分飲んだとこでトイレに席を立つ。
念入りに化粧直し!
よしっ!っとコンパクトを閉めたと同時に、亜由美が入ってきた。

「いや〜。千優希、愛されてるねぇ。ケンボーが、千優希が遅いから様子見てこいって言うからさ♪」
亜由美が楽しそうに笑いながら私の顔を覗き込む。

「化粧直しくらいゆっくりさせてよぉ。」
嬉しいくせに、ポーカーフェイス。

アイツはどんな顔して亜由美にそんなことゆーんだろ?
なんでそんなに心配してくれるの?友達だから?それとも………。


席に戻っても、ケンボーはこっちを見ない。ストンとケンボーの隣に座る。

《私のことどう思ってるの?》

恐くて聞けない、一番聞きたいひとこと。
……きっと圏外って言われるんだろーなぁ……。
女の子として見てくれてるのかなぁ?


「藤木は彼女作んないの?しばらく一人だろ?もう4年くらいになるか?」
安部ちゃんがケンボーに問い掛ける。
ケンボーは流すよーに、「仕事が恋人!」って笑いながら答える。
ほ〜ら、これだ!
「藤木はモテるっしょ?」
「だまってればかっこいいもんね」
柊ちゃんと亜由美も後に続く。
確かに――。客観的に見てケンボーはかっこいい部類に入る。180cm以上の長身に端正な顔……これでオヤジギャグを言わなかったら、そりゃモテるだろう……。くっだらないオヤジギャグを言うから、すぐ引かれるんだよ…。

「ケンボーは場の空気が読めないから、第一印象がよくても後から急降下ってタイプだよね。」
あ゛〜っ!またかわいくないこと言っちゃったよ……。
「おまえなぁ〜。」
ケンボーが怒ったフリしながら、私にデコピンする。

きっと一生好きなんて言えないのかも…。
あ〜あ、今日もまた、ついキツイこと言っちゃった。

嘘つきな私がそこにいる。
親友が長すぎて、どうしたらいいかわかんないよ…。
気付かなきゃよかった、こんな気持ち……。


何年か前から、ケンボーが私のことを【北川】じゃなくて【千優希】って呼び始めた。あんまり自然すぎて、いつからだったか、わかんないくらい―――。
呼び捨ての名前も、頭を撫でる手も、かかってくる電話も……気にし出したら、どんどん意識し始めて――。

考えれば考えるほど、わからなくなって。どうしたらいいかさえ、わからないくらい気持ちが溢れてきちゃった…。

親友だから、ずっと一緒にいたから、失くしたくない――!!!


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