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華麗なる奴隷秘密倶楽部
【その他 官能小説】

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華麗なる奴隷秘密倶楽部 第4章-6

多分、あの社長に棄てられたのでしょう、
あの事務所には若い子が大勢いますから、
彼女は飽きられたのでしょう。
こういう世界ではよくあることです。

それに男好きする彼女は常に異性との噂が流れ、
性的にも乱れていましたから。

そして、時代は若い世代のブームになり、
彼女の出る幕は段々と無くなっていました。

打算的な彼女の社長兼の男性マネージャーは人気の落ちた彼女よりも
若くフレッシュなタレントに眼を掛けていました。
こういう世界は厳しく、一度人気が落ちるとそれは顕著に表れます。

お二人は一時は肉体関係まで持ったのですが、
それは麗子さんが人気歌手であり、豊満な肉体が魅力だったからです、
この芸能プロダクションの会社は中堅ですが、
社長は中々のやり手で、彼は若いタレントに手を出すようになり、
次第に彼は麗子さんを相手にしなくなっていきました。


彼女にある仕事と言えば、地方の小さな会館や、
場末の名もないクラブ等しか声が掛からなくなっていたのです。
もともと、不器用な彼女は歌以外に生きる道を知らず、
やがて身を崩し転落の道を歩いていました。

そんな時に拾われ、面倒を見たのが、あの亮治様なのです。
或る場末の小さなナイトクラブで彼女が歌っているところを
亮治様と出会ったのです。
その夜のクラブでは、歌を聞く客など少なく、
お酒を飲んで客に媚びるホステスの嬌声で、とても唄う雰囲気ではありません。
それでも生きる為に彼女は歌いました。


希望と気力を無くした彼女に、あの艶のある声はもう出ません。
それでも心を込めて彼女は歌いました。

 一人 女が生きていく いばらの道は厳しくて
 今日も来ました 哀愁岬 涙こらえて海を見る
 遠くに見える灯台が なぜか心を濡らします
 捨てられて 夢に破れた女が一人
 今日も立ちます 哀愁岬
 波間に浮かぶ 小舟のように
 私は寂しく歌います ああ・・あの哀愁慕情


彼女は「哀愁慕情」を歌いながら、
その歌詞の中に登場するヒロインに彼女自身を重ねていました。
あの歌のように、自分は恋に破れ、生き甲斐を失い
まるで抜け殻のようでした、
それは今の自分の人生のように思われるのです。

思わず胸が熱くなり、それが喉を締め付け苦しくなるのです。
「止めろ、引っ込め、そんな古い歌、聞きたくねえぞ!」
酔った客は彼女に罵声を浴びせるのです。

彼女は歌い終わると、まばらな拍手を受けて舞台を降りました。
その眼には涙が溢れていました。
その涙が眼から落ちると頬に伝わります。
化粧した顔は崩れていました。

(もう歌いたくない・・でも)
不器用な彼女には、歌うことしか生きる道はないのです。
昔の人気があった頃は付き人がいましたが、今は誰もいません。
この世界は甘くなく、
一度人気が落ちると、見向きもされない世界と聞いています。

彼女が楽屋の控え室に戻ろうとしたとき、
或る男性が近づいてきたのです。
それが、あの亮治様でした。
手には彼女に渡す美しい花束を持っていました。


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