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『屋上の青、コンクリートの灰』
【ボーイズ 恋愛小説】

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『屋上の青、コンクリートの灰』-10

「……ということなんだけど、ごめん、だから明日から伊藤とごはん食べるから……」
 なんとも歯切れの悪い言い方になってしまった。
 昼休み。くもり空の屋上で、僕はコンクリートに腰を下ろすなり石井に打ち明けた。
 彼女が出来たこと。それがうちのクラスの伊藤だということ。それから、一緒に昼ごはんを食べたいと言われたこと。僕は一気にまくし立てた。石井がなにか言おうとする隙も与えずに。
 それは、なぜか僕は石井が不機嫌になると思っていたからだ。過去にモンちゃんのことがあったからかもしれないけれど、石井は絶対に歓迎してくれない気がしていた。だけど。

「ふーん。別にいいんじゃねえの」

 僕の杞憂を裏切るように、石井は別段変わった様子もなく購買の焼きそばパンを口に頬張った。

 良かった、普通だ石井。これで良かった。これで……
 ほっとしたはずなのに、なぜか僕はその反応がおもしろくなかった。胸がひどくムカムカしてくる。

「伊藤ねぇ、まあ可愛いよな。良かったじゃん」
「うん。……初めての彼女だから、嬉しいよ」

 そう言ってかじったジャムパンは、いつもより全然おいしくなかった。

 ざわざわと騒がしい帰りの教室。机に鞄を押し付け帰り支度をしていると、伊藤が嬉しそうにかけ寄ってきた。 

「朝陽ー、今日どこ寄る?」
「んー……マック寄って、俺ん家にでも来る?」
 ぱあっと彼女の顔が綻ぶ。
「行く行く!なにげに初めてだよ朝陽の家ーっ」
 行くところが特に思いつかなかったから言っただけだというのに。
 こんなことで喜んでくれるんだ。ちょっと……いや、かなり嬉しい。
 伊藤の頭を撫でる。
「なに朝陽?」
「かわいい」
 撫でながら笑うと、顔を赤くさせて『かわいくないし、別に』と言う。
 素直にかわいいと思う。好きなんだろうきっと、僕はこの子が。きっと、これが好きという気持ちなんじゃないか。

「おまえらムーカつくーー」


 真横で声がしたかと思えば、いきなり手をチョップされた。
 横を見ると、面白くなさそうに腕組みをしている早坂が立っていた。


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