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春うらら
【ボーイズ 恋愛小説】

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春うらら-2

「さぁさぁ、観念しろ。言う事をお聞き」
「やっぱりただ暇なだけだったんだな。人をおもちゃにしやがって」

 こうしておちょくっては暇つぶしにしやがるなんて、ムカつきすぎる。
 寄せられた身体を押し退けながら、精一杯睨んだ。

「ノーノーノー!ただ、スキンシップしたいだけ。許してね」


 そう言って亮ちゃんは首をかしげて笑った。ハッキリ言ってそんなことをしても可愛くもなんともない。
 
「変態」
「男とはこれ変態。美学ですね」
「開き直るな!」
「開き直ってないよ、自覚してるだけだし。かなたが好きだって」


 ずるい。こんなタイミングでそんなことを言うのは凄いずるい。


「なぁ、もっとくっつくよ。変態だから、俺」
「い、嫌だ、暑い」
「暑い夏こそ熱くなれ。これ美学」
「言やぁいいってもんじゃねえ!」
「ほら、俺の卵あげるし。キュウリだってハムだって生姜だってあげちゃうけど。その代わりかなたを頂戴ね」
「……変態」
「男はみんな変態ですから」

 そう言って笑うくせに、手は動かしてこない。
 ずるい。結局俺の意思で動けってことじゃないか。
 
 ムカついたので、俺はそのまましらばっくれることにした。
 でも最後にだけ、不服そうにまた冷やし中華をすすり始めた亮ちゃんの手をとめ、口にキスをした。

「……卵もらい」
「…………おう」


 暑い夏こそ熱くなれ、たまには乗ってみせたでしょうが。




終わり。


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