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恋愛小説
【純愛 恋愛小説】

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恋愛小説(2)-9

「いや、だってね。僕のあだ名なのに、僕以外のところで争いが起こってると思うと可笑しくって」
「うー、私だって真剣に考えたのに」
「わかってる。だから余計に可笑しいんだよ」
「ちーくんの意地悪!」
「ははっ、意地悪で結構だよ」
「はげ!」
「はげてないし」
「眼鏡!」
「眼鏡ぐらいかけるでしょ」
「ガリガリマッチョ!!」
「褒めてるのか貶してるのかわかんないし」
最後の方は、やっぱりいつもの千明だった。葵ちゃんもそんな僕らの漫才で肩の荷が落ちたのか、クスクス笑っている。
「むぅ、じゃあこれや!ガリガリマッチョ眼鏡!」
「ボキャブラリーの少なさを自分で宣言したようなものだね」
「あー!ちーくんの意地悪ー!!」




その後、千明は講義に出て行って、僕と葵ちゃんは学食に来ていた。
春の日差しが暖かい。窓からさす太陽の恩恵は僕らが腰掛ける席に柔らかに当たり、食後の満腹感とともに思わずまどろんでしまいそうになる。

「先輩、じゃあ私も先輩のあだ名考えていいですか?」
葵ちゃんがそう言ったのは昼時も過ぎて、学食が閑散とし始めた頃だった。
「ん?うん。好きにするといいよ」
「本当ですか!?」
「うん、本当です」
「わー、やったやった。じゃあどうしようかなー」
「あぁ呼ばれる側からの要求として一応言っておくけど、あまり過激なのは避けてね」
「え?なんですかそれ?」
「いやね、なんかとんでもないものが出てきそうだったからさ」
あーでもない、こうでもないと指折り数えて考えだす葵ちゃん。
「先輩の下の名前って、アキラでしたよね?」
「ん?うん。字は日付の日の字三つ並べて、晶って書く」
僕は机の上で指を動かし『晶』の字を書いて見せた。それを見た葵ちゃんは何かにひらめいた様で、嬉しそうに手を叩きながら話しだした。
「んー、じゃあこんなのはどうですか!?日が三つ→日、が、三→ひさん→ひーさん→ひーちゃん!!」
「たぶん『さん』って所を『ちゃん』にするのがミソなんだろうね」
「よくぞ気づいてくれました!なんか『ひーさん』って『悲惨』みたいで嫌じゃないですか!?あとなんかチャン付けって感じしますもんね?水谷先輩って!」
「君も千明に負けず劣らずユニークだと、僕はそれ以外に言えないな」
こうして僕の新しいあだ名は決まった。
「じゃあよろしくお願いしますね!ひーちゃん!?」
「……うん、まぁよろしくね」



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