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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#02  研修旅行――初日-3

「……ぉ、おう」

「ぁ――。そうか」



ん……?まただ。さっきもそうだったが、岐島は聞こえるか聞こえないかくらいの小さな溜息を吐いた。

けれども、私がソレについて口を開こうとする前に岐島は続ける。



「――いいよ。そうしようか」

「本当かっ!?」

「ああ。……まあ、俺も班は決まっていないからね。別に俺はあぶれたところで別に構いはしないけれど……」

「うっせ!じゃあ、竹下に提出すっからな?二人しか決まりませんでしたって」

「了解」



私は一度、強めに岐島の肩を強く叩くとハミング混じりに屋上を後にした。





研修旅行――鐘状高校で行う、夏休み恒例の学年旅行だ。

一年が二泊三日の国内、二年が一週間くらいの海外(コレが修学旅行となる)、三年がナントカっていう教育センターで勉強会らしい。

今年の一年、つまり私たちの行き先は古都鎌倉だ。つっても、小学生のときにも行ったし、あんまり魅力的な行き先ではない。でも、私は出席日数の問題(欠席よりも遅刻の回数の方がヤバかった)もあり、その旅行には出なければならなかった。

これは私の姉であり、この学校の現生徒会長である香織が「研修旅行に出た分を出席日数に加算してくれ」と私の担任の竹下と学年主任のビルマ(比留間)に掛け合ってくれたのだ。はなはだ余計なお世話だが……。

ってことで、出なければならないのだが、班決めは生徒たちの自由で、そして、いかんせん私にはそんな友人などはいない。

そこで思いついたのが岐島仙山という、およそクラスどころか学校にすら友達がいないだろう男のことだ。――失礼?はっ、ヤツがそんなことを気にするタマかよ。

だって、入学試験で最高の点数を刻んだ優等生様だろうがなんだろうが、岐島は俗にいう『良い子ちゃん』じゃないからだ。喫煙経験があり、飲酒は現在進行形らしいし、おまけにこれ以上ないってくらいいかがわしいバイトをしている。

一言で言えば、究極の非行少年だ。そこらで悪さしているバカとは次元が違う素行不良である。

ってなことで、多少の縁があったこともあり、私は岐島に協力依頼したのだった。

班決めのプリントに私とヤツの名を書き込み(ふふんっ、安心しろ。私はこう見えてお嬢様――書道三級の達筆だ)、担任の竹下に提出した。


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