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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#02  研修旅行――初日-10

「そうだね。あれは陰湿だったよ。文具、教科書が破損されたり、上履きが隠されたりなどは序の口、毎度のように給食では悪戯され、集団で無視をし、影でこれ見よがしにコソコソと笑う。いや、幼心にも傷心し、呪詛の言葉で頭が埋まったよ」

「ご、ごめんなさい……ほんとに、私っ……」



岐島の告白に空気は凍った。いや、凍ったなんてものじゃない。絶対零度だ。

なんだ、この修羅場!?無性に腹が痛くなってきたぞ!

相原は彼女自身も何年か前にいくつかは加担していただろう所業をその被害者当人から追及され、その垂れ気味の瞳はフルフルと震わし、普段は感情を示さない薄い唇も今回ばかりは強く噛み締められていた。

けど……、私は心のどこかでいい気味だ、と思ってしまう。

岐島ほどではないにせよ、私は身の上が身の上だけにやっかみから派生した嫌がらせを受けていた時期があった。結構、長く続いた記憶がある。

だから、岐島が相原へと糾弾する気持ちはわからなくもなかったのだ。

そんな私の視線を受け(まあ、私の心情は受け取らなかっただろうけれど)、相原は再び、謝罪を漏らした。



「ごめんなさい。私、あのときは、あんな……」

「――なんて、ね」

「ぇっ?」



いまにもその目尻の垂れた瞳から涙が雫となってこぼれそうになりそうになりながらも、頭を下げる相原へ岐島は――くすり、と笑った。

相原は、はっ、と頭を上げ、岐島へと呆けた視線を向ける。



「冗談さ。別に怨んじゃいないよ、これっぽっちもね」

「でも……私は、岐島くんにっ」

「私は?きみだけじゃない。あの時はみんなさ。それこそ、先生も含めてね。仕方ないのさ、一定数以上の集団を一箇所に長期間集まるとイジメが起きるっていうことは」

「そ、それは聞き捨てなりませんよ!」



思考回路をどうにか復旧できたらしい、委員長林田がよせば良いのに岐島へと食ってかかった。

先ほどまで私の頭の上を通過して、相原を収めていた岐島の視界がそっと下される。

林田の顔へと視線を向ける形で、私も半分くらい、ヤツの視界に捉えられていた。




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