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ジャングルジム
【ボーイズ 恋愛小説】

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ジャングルジム-1

あのジャングルジムの下で誓ったこと、俺まだ忘れてない。
忘れてないんだ。


必死に絞り出した一言を、おまえは黙ったまま聞いていた。
腕を組んで、決断が欲しいのにそれすらくれない。
ただ黙って聞いていた。
俺の言葉を聞いているのに、聴いてはくれない。
ただ時が過ぎていく。

1分、過ぎて10分、過ぎてまた10分。
この時間が途方もない位長く感じた。
叱声も罵声も侮蔑もなければ好意もなく、代わりに来るのは沈黙で。
悪戯に惰性的な時間が過ぎていく。
おまえの表情は…逆光で見えない。

   空虚
空しさと虚しさが俺の周りを駆け回る。

おまえの表情、見たいんだけど。
おまえの顔、見えないんだけど。

   『ご
    め
    ん』

謝られた?いや、謝ったんだ。
だって俺の声だもんこれ。
なんで?

あ、太陽が隠れる。やっとおまえの顔が見れる…、



眩し…さっき太陽隠れた筈なのに…
あ。おまえの顔、笑ってたんだ…

「起っきろー!朝だよ京吾くん」
「ん……」
「起きてねぇな。俺の四の字固め喰らっとく?」
「ん゙…ん」
「よし、OKと見なすぞ」
「い…ずみ…?」
「イエス」
「良かった…しゃべっ…た……」

 そこで意識がぷっつり切れた。眠りに入る間際に叫び声が聞こえた気がする。



「ぅ…ん…」
「おそよーさん」
目が覚めたら隣に泉が居た。しかも少々不機嫌。
「…なんで泉いんのよ」
「すげえ言い様。俺は京吾から慰謝料ふんだくってもいい位なのに」
「…何時」

窓からはうざったいくらいの日差しが入ってきてた。

「10時になります、こん畜生」
「ガッコは」
「あるよ」
「じゃなくて、なんで行ってねえの」
「それはおまえの左手に聞いて」

左上に目を向けると、俺の左手はがっしりと泉の左手を握っていた。

「なるほど…」
「ついでにコレもおまえの所為」
前髪を上げると、デコにはぼっこりと出来たたんこぶがあった。

「…いきさつは」
「俺が立ち上がろうとした瞬間に、京吾が俺の手をひっ捕らえて俺はバランス崩してベッドの脇におでこをぶっけたという感じでございます」
「…鈍くせえ」

その場面、至極簡単に想像できる。

「人がせっかく早く起きたから迎えに来てやったというのに、この仕打ちか」
「ご苦労様です」

目の前で敬礼をしてみせた。


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