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Crimson in the Darkness
【ファンタジー 恋愛小説】

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Crimson in the Darkness -決意-Y-2

「リアナさんの左目はそのせいで……?」





 聞きにくそうにシエルが訊ねるとそれを一蹴するかの様にヘラッと笑う。





「それは、内緒かな。一応、本部でも上の方のヒトしか知らないんだよ」





 否定も肯定もしない。



 極秘事項なら、しかたないか。無理に聞き出すのは不可能だろうし、リーの場合とは少し違う気がする。ただ、そのことには一つ気にかかることがある。





「ヒューイも知らないのか?」





 この前の礼拝堂で話した時、垣間見たあの表情(かお)は“ただ心配しているだけ”じゃないと思う。



 あのヴァンパイアに苦戦することもなく、力で圧倒したこの女を仕事で怪我するかもしれないってな理由で心配してるはずがないよな。だとしたら、あの心配っぷりは……そのコトなんじゃ?って思ったんだ。でも、リアナは不思議そうに首を傾げた。





「? ヒューイは知ってるよ。私の旦那さんだし」



 は?





「……旦那さん?」



「うん。あれ? 言ってなかった?」



「言ってないと思う……」



「そっか。じゃ、改めて。私はリアナ・シルフィード。正教会ガラナ教会大司教ロベルト・シルフィードの次男ヒューイの妻にあたります」





 ニコニコ笑ってリアナは改めて自己紹介してくれた。それに聞き覚えのあった“シルフィード”ってそれだ。ガラナの大司教。正教会現最高責任者である女教皇の第一補佐役、つまり二番目にエライ奴の名前だった。こっちに来てから、本国のことに興味なかったから忘れかけてた。



 でも、またそんなエライ奴の息子がヒューイってことはリアナってそれなりにエライんだよな。




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