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Island Fiction
【SM 官能小説】

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Island Fiction第3話-2

「放せ、このやろう! 縄をほどけ!」

クルミは驚いて目をしばたいた。
人生でこれほどの大声を耳にしたことがないのだ。
それはわたしも同じだった。

「外人さんかな?」

不品位な言葉を彼女は日本語として認識出来なかったらしい。

「あら? おかしいわね」

アザレアが首をかしげた。

ペニスには勃起する気配がなかった。
さすっても、しごいても、つまんでも、引っ張っても、何をしてもピクリともしない。

「当たり前だ! この状況で立つわきゃねえだろ!」

「困ったわね」

「何かうるさいね」

アザレアとクルミは酷く落胆した。
使い物にならないオモチャなど必要ない。

「そんなことないだろ。こいつは芸能界でも有名なヤリチンなんだぞ」

「こんなことして、ただじゃ済まないぞ! 俺は有名人だぞ! 俺は財界の大物やヤクザにも顔が利くんだからな! マスコミだって黙っちゃいないし、警察だってすぐに動き出すぞ!」

森脇の言葉は空っぽだった。
自分が価値のある人間であると認めるならば、自分の可能性を示すべきなのに、何故他人を持ち出すのだろうか。
財界の大物も、ヤクザも、マスコミも、警察も、森脇自身のことではない。
しかも、小者を取り上げたところで脅しや交渉としては何の効果もないし、自慢話にすらなっていない。

この男には己を形成し、言動を裏付ける信念がないのだ。
そうだ、孤独なのだ。
そして孤独であることに気がついていない。

「かわいそう……」

わたしは森脇が哀れで、愛おしくて、そっとキスをした。
カサカサに乾いた唇を舌で潤した。

キスはペニスでは決して味わえない幸福感が得られる。
わたしはお父様がいつもお与えくださるように、精一杯の愛を込めて唇を重ねた。

森脇の体から力がスーッと抜けていった。

アザレアがペニスにかぶりついた。
愛を歌い上げるディーバのように情熱を注いだ。

瞬く間にオトコへ命が吹き込まれていった。
流れる血液で海綿体が熱を帯びる。

「やれば出来るじゃないか」

と、お父様はお喜びになった。

鍛え上げられた森脇の胸板は、厚く、力強い。
わたしは吸い寄せられるように胸へほほを当てた。
飛び出しそうなほどの鼓動が伝わった。


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