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Island Fiction
【SM 官能小説】

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Island Fiction最終回-11

「まあ、そうかもね……」

ほほを寄せ合い体温を確かめ合いながら、わたしたちは五年の年月を埋めるように長いキスをした。

「気持ちいい……」

わたしは思わず甘いため息を漏らした。

アザレアの指がわたしの秘裂を探ると、卑猥な水音が響いた。

「すごぉい……、もうビショビショ……」

「いやぁ……」

陽だまりで微睡むように頭が重くなった。
溶けていくチョコレートのようだ。
体に纏わり付く羞恥心や理性や見栄が蕩けていって、わたしを裸にしていく。
そして官能だけが鋭く研ぎ澄まされる。

そういえば「戦争のはらわた」の最後にはベルトルト・ブレヒトのこんな詩がクレジットされる。
連合軍がナチスに勝利した後の台詞だ。

『諸君、あの男の敗北を喜んではいけない。世界は立ち上がり、あの外道を阻止したが、奴を生んだメス犬が再び発情しているのだ』


わたしは決意した。
何も成し遂げられず、何も生み出せず、何も残せない人生なのだから、初めから何もなかったことにしよう、と……。
最悪を生み出した母を道連れに、すべてをリセットすることにした。

何の変哲もない映画の中にサトリへ導く記号がちりばめられていた。
“発情”のイメージが隠されていたのだ。

もうじき、わたしの意識はなくなる。
快楽物質で脳が冒され、廃人になってもオマンコを貪り続けることだろう。

世界にはわたしとは別のイメージが与えられている。

それは“死”だ。

ネットを通じてその他の媒体にもすでに伝染している。
洗脳によって人類は初めて共通の意識を手にしたことになる。
今頃は世界各地で自殺や暴動や殺戮が繰り広げられているはずだ。

洗脳の前では、神の声は届かない。
慈悲や道徳は意味をなさない。
虐殺のイメージを共有した人類は、破滅への道を突き進むしかないのだ。

数時間後には、太平洋と北極海にそれぞれ展開中のイージス艦と原潜から、弾道ミサイルが発射される。
四十八時間以内には報復の核が世界中に降り注ぐことになるだろう。
こうして人類の歴史はなかったことになるのだ。



〜完〜


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