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God's will
【その他 官能小説】

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ふきつないちにち-1

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 二泊三日、二万二千円で借りたプレマシーに乗って、僕は木村修と二人で山道に入る。木村修に会うのはこれが初めてだった。大柄な男で、僕の好みはともかく、俗に言うB系ファッションが良く似合っていた。彼は大きめのファットファームの白いTシャツに、$マークのジルコニアネックレスをぶら下げ、頭には白×グリーンのニューエラのキャップを被っていた。Gユニットのジーンズを腰履きしていて、シューズはロカウェアのミドルカット・スニーカー。あごの下には整えられた髭がもっさりと生えていた。宮下勉と違い、事前に彼の情報はほとんど知らなかったので、人間性についての予備知識は皆無だった。ああ、こういうタイプの人間かと僕は思った。僕とは全然別のタイプの人間なのだろう。車のスピーカーからはLillies and RemainsのMorarist S.S.が流れていたが、彼は絶対にこういうタイプの音楽は聴かないだろうなと僕は思った。彼が聞くのは多分EMINEMやNELLYや50centなんかだ。

「それにしてもさ、初対面の俺たちだけで行動するこの事態って、どうなんよ? あいつもちょっとは考えとけってんだ」手振りを交えた話し方はラッパーの真似事なのか、その度首から下げたジルコニアのネックレスがじゃらりと鳴る。木村修の口から吐き出された煙が僅かに開けられた助手席の窓の隙間に吸い込まれて消えていく。

「そうだな」と答えた僕はハンドルを握り、注意深く車を運転する。

 北海道帯広市から富良野市へ向かう途中の峠を僕は運転していた。ちゃんと舗装されているので普通に走る分には全く問題はないし、走り慣れているトラックなんかは時速九十キロを越えるくらいの速度で走っていくが、運転経験の浅い僕にとっては断崖絶壁の道を運転するような心持ちだった。百八十度の急なカーブなんかも数箇所にあり、おまけに霧も出ていた。

「すげー霧だな、おい。運転は大丈夫かよ?」

「自信がないから黙っていてくれないか?」僕が言うと、木村修は肩をすくめ、助手席側の窓から真っ白な景色に目を移す。時速四十キロでのろのろと走る僕の運転するプレマシーは、他の車にどんどん追い抜かれていく。そして、周りに車は全くいなくなる。ハンドルを握りながらチラリと木村修を見ると、彼は腕を組み、助手席に深くもたれかかって目を閉じていた。

二十分ほど走り、車は砂利道に入る。国道を脇にそれ、山中の深くへと道は続いている。途中で聞いたことのない村の名前が書かれた錆びれた案内板が立っている。こんなところに人が住んでいるのかと僕は思う。それならば、もっと山奥まで車を走らせなければならない。道は対向車が来たら通れないほどに狭い。舗装されてない上に、ガードレールもない。僕は今まで以上に慎重に運転をする。

 チラリと隣を見ると、木村修が小さくいびきをかいて眠っている。砂利道に入り、先ほどから随分と車体は揺れているが、彼は一向に目を覚ます気配はない。これなら、スムーズに目的地へまで行けそうだと僕は内心胸を撫で下ろす。




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