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God's will
【その他 官能小説】

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I will give you a name that is more wonderful than anyone.-2

「ねえおにさん」ぼんやりしていた僕に、赤ん坊が言う。

「うん?」

「かみさまっているのかな?」

「どうして?」

「うーん。なんとなく」

「いるよ」

「どこに?」

「みんなの中に。神様は俺の中にも、君の中にもちゃんといるよ」

「ままのなかにも?」

「勿論。ルカの中にもいるよ」だから僕は君をあの世界から連れ戻すことが出来たんだよ、と僕は付け足す。

 僕がしたことが正しかったのかどうか、それはきっと後になってから分かる。この子が成長し、多くの人間と関わり、自分の足で大地に立ち、自分なりの正義を追い求め、そして、いつか彼を心から愛する誰かが現れたなら。そして、その人との間に新しい命を得ることになったとしたら。いや、少なくともこの子が笑顔で居られたら。そうなれば、今の僕はきっと正しいことをしたのだと胸を張って言える。

だから、僕は生きなくちゃならない。世界で戦争が起こっても、未知なる細ウイルスが蔓延しても、空から氷の塊が降ってきても、宇宙人が襲来しても、全身全霊をこめてこの子を守り続けるために。誰かはこの子のことを罵倒するだろうか。生まれながらに喋り、イスに座り本を読む赤ん坊の姿を見て、悪魔の子だとでも言うだろうか。それとも、僕の事を若すぎる父親だと陰口を叩くだろうか。子供に子供は育てられないなんて言うだろうか。あるいは、血の繋がりについて何か言うだろうか。それでも構わない。言いたいやつは好きなだけ言えばいい。これは僕の人生だ。他の誰かじゃない。何かを選び、そしてそれを守るのは僕だ。僕は赤ん坊の頭を撫でる。そして、この子に名前をつけてやらなきゃな、とふと思う。とても素敵な名前をつけてあげたい。そう思って、僕は笑顔になる。





<了>


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