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God's will
【その他 官能小説】

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ルカ-4

 僕はルカと手をつないでデートをしたことがある。でも、キスをした事はない。僕はルカと寄り添って眠ったことがある。彼女がひどく泣いたある夜のことだ。でも、僕らはセックスをした事はない。そうして短期大学を卒業し、僕らは就職先の帯広市へ同じタイミングで行くことになる。



 短期大学で司書免許を取得したルカが北海道帯広市の図書館へ就職を決めたとき、僕はまだ何も決まっていなかった。だから、僕は北海道帯広市の求人をとりあえず探し、面接を受けては落とされた。

「ねえ、もっと広い範囲で就職探したら?」

 ある日、なかなか就職先の決まらない僕に、ルカはそう言い出した。「今は就職難だし、可能性のあるところなら他にもたくさんあるじゃん。札幌とかさ」

「札幌でもいいよ、別に」と僕は言う。「でもさ、俺はルカと離れたくないんだよね。それは、前も言ったじゃん?」

「ねえ、こんなのってさ、なんか駄目なんじゃない?」

「どうして?」

 日曜日の午後一時。僕はルカの部屋で、彼女の作ったナポリタンを食べながら、床に広げた求人情報の紙をぼんやりと見つめていた。

「なんかさ、私と仲良くなることでさ、なんか紫音が駄目な方向に向かってる気がする」

「一緒に帯広に行くのが嫌なの?」

「そうじゃないけど」

「それならいいじゃん」と僕は言いながら、ルカの言わんとしていることもちゃんと理解している。それを理解したうえで、僕は言う。「俺はさ、別にやりたい事だってあるわけじゃないし、それにルカと離れたくないんだよ。俺たちは別に付き合っているわけじゃないし、ただの友達なのかもしれないけど、それとはやっぱり違うんだわ。なんか、今ルカがいなくなっちゃったら、俺は上手く生きて行けない気がするんだ。帰る場所もないし、行きたい場所も無いなら、ルカといようって思うことって、別にそんなに間違ったことだと思わないし。ルカがもしかしたら依存されることが嫌で、それでもって、こうやって俺が帯広に行ってもしも上手くいかなかったら私のせいじゃんみたいな風に思ってるのかもしれないけど、それとこれとは全然別だから。あくまで俺は俺の意志で帯広に行くの。札幌でもなく、旭川でもなく、函館でもなく。俺がルカと一緒にいたいという理由はあるけど、結局それを決めるのはやっぱり俺の意思なんだよ。分かった? 分かったら大人しく俺の就職先探すの手伝ってくれよ」

「ふぅぅむ」ルカはいまいち納得行かない表情だが、結局は手伝ってくれる。そして、僕は帯広市のお菓子工場に内定をもらうことになる。




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