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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#01  邂逅-15

「……空、山。黙らせろ」



言葉の意味が分からず、私は眉を潜めた。

しかし、次の瞬間には理解する。

男の背後に立った黒スーツの男女が同時に振り向くと男へ走り寄る二号と三号の目前に立ちふさがった。

『空』『山』はこの男女の呼称なんだ。

黒ずくめの二人組みは室内にも関わらず、サングラスをかけており、廊下も室内も暗くて顔はよく見えなかったが、やっぱり若かった。

二号が重心を低くしてのタックル、三号が正拳突きでそれぞれ男女に勝負をかけるが、数秒後にはその決断をした自分をきっと、後悔したことだろう。



「ひぐ……」「うぎゃっ?」



背の高い男が膝蹴りを二号に、小柄な女が三号の拳を往なして肘鉄を、それぞれ顔面に打ち込んだ。

ゴキリ、という鼻の軟骨が折れる音と二号、三号の声にならない悲鳴が室内に響いた。

だけど、この男女には容赦という言葉は知らないようで、そのままオーナーの背後に広がる暗い廊下へと悶える二号と三号を引きずり入れると続けて何度か、打撃音が聞こえてくる。

最初の二、三回こそ、まだ二号、三号の悶痛の声が聞こえてきたが、それもすぐに聞こえなくなった。



一分ほど経ったろうか、私と高崎とオーナーの男だけが静かに佇む部屋に黒服の男女が戻ってきた。

けど、二号、三号の姿は見えない。

黒スーツの男は再びオーナーの背後に背を向けて立ち、女はそっとオーナーへと耳打ちした。

ゴニョゴニョとしていたが、「捨てて」という部分だけは聞こえてきた。

私は頬を強張らせる。

そんな私の気持ちを知ってか知らずか、再度、柔和な笑みを浮かべると高崎へと静かに告げた。




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