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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉
【レイプ 官能小説】

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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉-37

「そんな、脅かさないでくださいよ」
「いや、ありえない話じゃないぞ。最近、このあたりでよくそういうことあるみたいだし、さつきちゃんも一人暮らしだろ? ああいう変質者っていうのは、立場の弱いターゲットを狙うもんだってなんかで聞いたことがある」
「ええ……!?」
 深刻な顔付きでそういう夏雄に、さつきはさらに不安が募る。
「もしかしたら付けねらって、家を調べられてるかもしれないぞ?」
「そんな、ことって……」
 ありえないとも言い切れず、さつきはおろおろとしだす。
「じゃあ、とりあえず道を変えようか。まっすぐ帰ったらそれこそ思う壺だろうし……」
「は、はい……」
 背後にある恐怖と比べれば、セクハラ男などとるに怖い存在でもない。
 さつきは心の天秤にかけたあと、夏雄の行く方向に従った……。

**――**

 遠回りすること三十分。アパートの屋根が見えたころには、ストーカーに対する恐怖も薄れていた。
 それとは別に、夏雄が険しい顔になり、なんども首を傾げていた。
「どうかしたんですか?」
「いや、なんか胸がおかしいっていうか、苦しいんだよ」
「え!?」
 さつきの身体に熱が走る。心当たりがあるからだ。
「え、えと、気のせいですよ」
 笑顔でそういうが、夏雄は肩を回したりしながら、やはり浮かない表情だ。
「なんか酔いが醒めてから、だんだん気になるんだよ。こう、ぐっと締め付けられるような、そんな痛みでさ……。ジンジンしてきて、強くなってくる」
 こんなとき、「恋ですか」と言えるのならどんなに楽だろうか? たとえその対象が自分であったとしても、その方が安心する。
 おそらく彼の胸がときと共に痛み出したのは、武彦に殴られたことと、アルコールが切れてきたことが原因だろう。
「今からでも病院に行こうかな……」
 顔をしかめる夏雄に、さつきは焦る。もちろん、交通事故のように痛みの経緯を聞かれることは無いだろうけれど、診断書など出されたら武彦の立場が悪くなる。
 場合によっては慰謝料、サークルの退会、大学の停学、退学……逮捕!?
「そんなたいしたことじゃありませんよ。少し休めば直りますってば!」
 必死にごまかそうとするさつきだが、夏雄はいまだ渋い顔。
「そうだ、あたしのうち、シップありますよ」
 たかが打ち身程度、シップを貼って一日休めばある程度は収まるだろう。そうすれば怪我の程度もごまかせるはず。あとは夏雄が医者に行くのを何か都合をつけて回避すれば、痕跡もなくなるだろう。部員達にはそれと平行して根回しをすれば、皆波風を立てるような真似もしないはずだ。
「うん、悪いけど、もらおうかな……」
 さつきのアパートを前にして、夏雄は頷いてくれた。
「じゃあ、ちょっと待っていてくださいね……」
 さつきは階段を駆け上がり、自室に戻ると救急箱を開ける。
 以前バイトで足が辛くなったときに買っていたシップがある。臭いを気にして一枚使ったっきりのそれを取り、さつきは玄関に走った。
 すると、それと同時にドアが開く音がした。夏雄は無遠慮に玄関に立っており、靴を脱いでいた。
 施錠をしていなかったのはうかつだったが、深夜の、それも女の部屋に上がりこもうなどと、普通の神経では考えられないことだ。
「ちょっと先輩、外で待っていてくださいよ!」
 声だかに抗議するさつきだが、夏雄はすぐにしゃがみこみ、やはり渋い顔をしている。
「すまん、なんか立っているのも辛いし、ちょっと横にならせてくれないか?」
 その表情は嘘をついているようには見えない。
 元々武彦がさつきを思っての暴力。自分に落ち度があるかといえば無いといえるが、そう切り捨てるには、若干の負目がある。
「じゃあ、少しだけですよ……」
 さつきはそう言うと、居間のほうへ案内した。


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