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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉
【レイプ 官能小説】

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枯れ落ちる葉、朱に染まる紅葉-21

**――**

 武彦が期待して調理場へ行くと、もぬけの空だった。
 コンロの上には昼に予定していたカレーが既に出来ており、ごはんが炊けるのを待つ頃であった。
 手際の良いさつきのことだから、さっそく済ませたのだろう。ただ、せっかく手伝うつもりだった武彦としてはつまらない結果。
 ――いや、待てよ?
 昼食の準備が終ったのなら、その分彼女と一緒に過ごせるではないか?
 そんな名案が浮かぶも、今ここにさつきがいない。しばらく待つべきかと手近にあった椅子に座る。しかし、それも三十秒と我慢できず、彼は食堂を出ることにする。
 もちろん探すあてもない、いきあたりばったりな行為だが、広いといってもたかが知れている程度、延期になったオリエンテーリングとばかりに、武彦はさつきを探し始めた。

**――**

 まず向かったのは体育館。準備を終えたさつきが皆を呼びに行ったらすれ違いになると考えてだ。だが、その推理は不発に終る。相変わらず智之が審判をしており、変わったことといえば点数ぐらいだ。
 ――あれ?
 もう一つ気になることがあった。
 まるで間違い探しのような一こまだが、この場所にはさつきのほかにもいない者がいる。
 それは……、
 ――船岡先輩?
 克也の姿が無いことに気付いた武彦は踵を返すと本館のほうへと戻った。
 一階は事務室と応接室、食堂、調理室、トイレに浴場がある。
 事務室へ行くと管理人が「どうかしたの?」とにこやかに話しかけてきたので、愛想笑いを返して辞する。
 食堂に舞い戻るも誰も居らず、調理室では炊きたてのご飯が良い香りをかもしている。
 ごはんを混ぜてから浴場へと走る。男湯は当然誰も居らず、女湯を覗くべきかと迷いつつ、脱衣所を見てから再び廊下へ戻る。
「さつきー!」
 たまらず大声で呼びかけるが、雨音が邪魔をしてすぐにかき消されてしまう。
「さつき〜、どこだ〜!」
 それでもめげずに声を張り上げる武彦。二階に行こうとして、トイレの前で立ち止まる。
 男子トイレは良いとして、女子トイレにいたら?
 腹痛などで彼女がいたとしたら、それはそれで安心かつ気まずい。
 場所が場所だけに調べるわけにも行かず、しばらくうろついてしまう。
「どうかしたのか?」
 すると、男子トイレのほうから声がする。見ると夏雄がやってきて、手を洗っていた。
「三谷先輩、さつき見ませんでした?」
「さつきちゃんなら昼飯の準備してるって……」
「それが居ないんですよ」
「そうなのか? トイレとか?」
「いえ、女子トイレは……見てませんけど……」
 口ごもる武彦を尻目に夏雄は遠慮なく女子トイレのドアを開ける。
 向かい合う扉は全て開いており、誰かが隠れられるようなスペースは無い。
「居ないな……。体育館じゃないのか?」
「さっき行きましたが居なくって」
「じゃあ、二階は?」
「まだ見てません」
「その辺ぶらぶらしてるんじゃないのか?」
「いえ、それが……」
「なんか気になることでもあるのか?」
「ええ、その、いいにくいんですけど、船岡先輩の姿も見えなくて……」
「克也が? あいつがどうかしたのか?」
「ええ、最近なんかさつきっていうか、俺達の関係にちょっかいだしてきて……」
「ふうん、そうか、そうなると気になるかもな……」
 夏雄は首をかしげ何かに気付いたように上を指差す。
「んならお前は三階見て来い。俺は二階を見てくるから」
「はい、わかりました」
 武彦は階段を駆け上がる。夏雄もその後に続く。
「さつき〜! お〜い、さつき〜!」
 愛しい恋人を探す声が響くも、強まる雨音は無常にそれを洗い流していった……。


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