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龍之介
【姉弟相姦 官能小説】

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龍之介・四-1

<2005年9月・・・葵20歳・龍之介19歳>
今日最後の配達が終わり、車に乗り込む前によく体を伸ばす。
全身に心地好い満足感が広がり、隅々まで染み込んでいった。

「龍、お疲れ。ほら」
「ありがとうございます。広田さん」

投げ渡されたおにぎりを受け取るといつも、一日が終わったんだと実感する。
俺の握り拳くらいある重いおにぎりだった。中身は日によって違い、たまに驚く物が潜んでいたりするから侮れない。

「いただきま・・・うっ?!」

具にしては妙に固く甘い。
お菓子でも入ってるのかと確認したら、板状のチョコが埋め込まれていた。

「疲れた体には甘いのがいいだろ?サプライズだ、はっはっはっはっはっ!」

子供みたいに屈託なく笑う広田さんは、俺より5歳も年上には見えない。
仕事中の厳しい顔付きはすっかり鳴りを潜め、普段の冗談好きに戻っていた。
広田さんは自分以外にもわざわざ俺におにぎりを作ってくれる、ちょっと口は悪いけど優しい先輩だった。

「おめえ、ほんっといい顔すんなぁ。うちの弟にそっくりだぜ。悪戯するとそういう顔すんだよ」
「弟さんは大変だったんですね、いつも悪戯されて」
「最近はやってねえよ。ちゅうか、随分会ってねぇ。元気かなー、大学行ってるらしいけど」
「昔から兄弟喧嘩とかはしてたんですか?」
「ねえな、全くじゃねえがほっとんど無かった。男兄弟なのに珍しいって良く言われんだよ」

いつまでも甘えてたらいけない、と思う反面、可愛がって貰えるのは正直嬉しかった。
仕事を始めたばかりの頃は右も左も分からず、免許を取って間もなくて運転も覚束なかった。

道だって中々覚えられず、近道や抜け道を見つけられる様になったのはつい最近だ。

積んでた弁当を崩してしまう事は何度もあって、凄く怒られたのを思い出す。
・・・そんなに昔じゃないのに、思い返すとちょっと過去の出来事みたいだな。

広田さんが運転席を少し倒し、寄りかかる様に伸びをした。
そのまま上がった腕を枕にしてぽつりと呟く。

「人生色々だな。同じ歳で龍はもう働いて、俺の弟は学生か。おっといけねぇ、まだしんみりする歳じゃねえよな」
「四捨五入しても二十歳ですからね、まだまだですよ」
「なんかよく分からんが嬉しいな。いい事言うなおめえは」

もし俺に兄貴がいたらこうやって毎日が楽しかったんだろうか。
一緒にキャッチボールしたり、鬼ごっこをしたり、どっちが速いか駆けっこで競争したり・・・


「お疲れ様でした!広田さん」
「おう、お疲れ。気を付けてな!」


タイムカードを切って会社を出たら8時を過ぎていた。
原付にエンジンをかけて、跨る前にもう一度体を伸ばす。

会社に着くと必ずやる体操がすっかり染み付いたな、と思わず苦笑いしてしまった。


(来月で半年になるのか。あっという間だったな)

最初は一時間近くかかった帰り道も、仕事の要領で近道を探してたら20分も短縮できてしまった。


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