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コンビニ草紙
【理想の恋愛 恋愛小説】

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コンビニ草紙 第二十四話-2

「…あの、私は大丈夫なんですけど、さっき何かあったんですか。」

草士さんは暫く目を細めうつむいていたが、意を決したように私を見つめた。
「さっき、りょーこさんがいなくなってから蒔田さんといろいろお話してたんす
よ。それで…」

ぐるぐるぐるぐるぐる……

私のお腹が鳴ったと思い、咄嗟に帯の辺りをさすった。

「あ…私です。こんな時に鳴るなんて……すんません。」

彼は自分にあきれたと言った感じで髪をかきながら溜め息をついた。
私は何だか拍子抜けして少し笑ってしまった。

「草士さん、この辺りで公園とかありませんか。とりあえず、ごはん食べましょ
う。」

私が紙袋を見せると、草士さんも苦笑いを浮かべ頷いた。
近くに公園はないが、小さな広場にベンチがあると言うので
そこまで行くことにした。
広場は本当に小さくて、ベンチが一本の桜の木を囲むようにあるだけで後は何もない。
桜は季節ではないので見ることは出来ないが、春になればきっと綺麗なんだろう
と思う。

「…いただきます。」

草士さんが神妙な顔で割り箸を割る。
食べている時は終始無言でやっぱり空気が少し重い。
しかしお腹が空いていたようで、3つのお弁当をもくもくと食べ、完食した。
彼は小さくご馳走さまでしたと言い、顔の前で手を合わせる。
お互い無言でベンチに並んで景色を眺めていると草士さんが大きく息を吐いた。

「せっかくデートなのに、台無しにしてしまって、ほんとすんませんでした。」

彼が悲しそうな顔をしてうつむいた。
こんなに落ち込んでいる姿を見るのは初めてなので、少し驚いてしまう。

「そんな、台無しなんて…良かったら何があったか教えてもらえませんか。」

私は彼を刺激しないようになるべくゆっくりと話す。
また、無言の時間が過ぎる。
さっきのヒロタカの顔と草士さんの顔が交互に浮かぶ。
ヒロタカの怯えきった表情と草士さんの冷たく鋭い目。
一瞬にして張り詰めた空気はやはり徒事ではなかったのだろう。
私は黙って、彼が口を開くのを待った。

「私の両親が亡くなっている事は知っていますよね。」

草士さんは唐突に話し出した。
彼の横顔を見ると、遠くの方を真直ぐと見つめている。
私はだまって頷いた。

「本当は、亡くなったのは母だけなんす。父親は生きているんすよ。」

私は話が見えてこないので、無言でただ、彼の隣で耳を傾ける。


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