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過ぎ行く日々、色褪せない想い
【学園物 官能小説】

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過ぎ行く日々、色褪せない想い-26

**――**

 逃げるように大学を後にした二人を迎えるようにやってきた急行電車に乗り込む。
 ガラガラの車内なので、遠慮なく腰を下ろす二人。
 今は何も言いたくないのか、無言のまま、身体を揺らしていた。

 話を聞いた段階では半信半疑でしかなかった悠だが、さきほどの生々しい映像を見て、自分が甘かったと理解した。
 今はまだ美琴の画像は無いが、もし二人の関係が続けば、彼女もいずれ商品ラインナップに加わるのかもしれない。
 見知らぬ誰かが彼女の痴態を見て、そして……。
 ――そんなこと、納得できるかよ!
 本当なら今すぐにでも彼女に真実を伝えたい。証拠なら既にこちらの手の中にある。
 悠では牧夫であると断定できないが、美琴ならおそらくは……。
 身体を重ねた二人なのだから、他人にわからないこともわかるだろう。
 そう思うのは癪だが、彼女を説得できなかった最後の手段として考える。
 ――他に……。ん!?
 ズボンを掴む手があった。
 それは和子のものだが、何故か震えているのが気になる。
 視線を向けると、彼女は帽子を目深に被り、うつむいていた。
「……どうかしたの?」
「……すみません……、あの、向こうの扉……」
 扉のほうを見ると、そこにはスーツ姿の男性がいる。整った髪とオシャレなデザインの眼鏡。ふちがなく、小さめのそれはやぼったい厚さがない。
 しきりに携帯をチェックしている様子で、いらいらしているのもわかる。
「……牧夫?」
 彼女に聞き取れる程度の声で言うと、こくりと頷いてくれた。
 瞬間、悠もまた怒りで身体が熱くなる。しかし、ここでことを荒げては意味が無いと、つま先を強く踏みしめることで堪える。
 代わりにスケジュールを思い出す。今日は確か美琴の家庭教師の日ではない。
 今すぐに戻る必要は無いが、おそらくは別の誰かが、その毒牙にかかるはず……。
 そう思うと居ても立ってもいられず、今すぐに彼を殴りたいという衝動が生まれる。
「先輩……」
 それをとめたのは、和子の手。
 彼女の手を強く握り返すことで、何とか冷静さを保つ。
 和子、後輩の彼女のためにも、ここは我慢するべき。
 悠はどっかりと背もたれに寄りかかると、彼女をそっと抱き寄せる。
 ――次の駅で一度降りよう。そのほうがいい……。
 駅に着くまでの数分間、悠は目を閉じて待った。


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