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『深夜のコンビニ』
【OL/お姉さん 官能小説】

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『スープ』-2

翌日ー




「おい、小谷出るぞ」
「あ、はい!いってきます!!!」

フロア全体に届くように大きな声で挨拶をし、私は慌てて先輩を追った。エレベーターの前でやっと先輩に追い付く。

「ちゃんと予習してきたか?」
「はい!」
「今日は小谷にやってもらうからな」
「うぅ…はい」

小暮先輩は入社時から私の指導にあたってくれている先輩だ。今日は営業に一緒に行き、初めて私が自社商品のプレゼンをすることになっている。

「大丈夫だ。自信もてよ」

先輩はそう言うと私の肩を軽く叩いた。その瞬間少しドキッとする。先輩に触れられた部分だけ体温が上がってしまったようだ。
田中くんにメールを返す気にならないのは、小暮先輩の存在も一因だと思う。昨日真子にそう話したら『そんなのはよくある先輩マジックでしょ』と一笑に付されてしまったのだけれど。
確かに小暮先輩の顔が好みってわけじゃない。客観的に見たら、田中くんの方がイケメンかなとも思う。でも、頼れる大人の男って感じが今の私にはとても魅力的なのだ。

(やっぱり先輩マジック…なのかなあ?)

「ぼーっとすんな!いくぞ」
「は、はい!」

私は慌ててエレベーターから降り、先輩を追いかけた。




「今日は30点かな」
「すみません…」

営業後、直帰になっていた私達は反省会も含めて居酒屋で飲んでいた。

「答えられない質問があるようじゃ全然だめだぞ」
「はい…すみません」
「商品のサイズ展開くらいきちんと把握しておかないと」
「はい…」

ビールが注がれたグラスを両手で包み込むようにして私は先輩の前でうなだれていた。
商品の説明自体はうまくいったと思う。でも先方さんからの質問に移ってからはしどろもどろになってしまい、ほとんど先輩に対処してもらう形になってしまった。

「まあ、最初だからな。同じ失敗をしなきゃいいんだよ」
「すみませんでした…」
「よしよし。ほら、飲んで」

先輩に促され私はビールに口をつけた。少し、温くなっている。

「あんまり落ち込まなくてもいいから。次に生かせばいいんだよ」

優しくそう言ってくれる先輩に私はやっぱりドキドキしていた。それは最近田中くんと一緒にいても全然感じないドキドキだった。




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