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長い夜
【大人 恋愛小説】

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長い夜 (五)-4

「はい、体を拭いてあげるから、着替えなきゃだめよ。熱いお湯で絞りたいけど
とりあえず、早く着替えなきゃいけないから乾いたタオルでいいわね」

真人はゆっくりと身を起こしてシャツを脱いだ。
汗でくっついて脱ぎにくそうにしているので遼子も手伝った。
シャツは汗で重くなっていた。

乾いたタオルで首から背中を擦る。両腕と脇を
そして、厚く筋肉のついた胸を拭いた。
華奢に見えたのに、着やせするタイプなのか中高生ではスポーツをしていたのかも知れない。
均整のとれた引き締まった体に、客観的な「美」を感じた。

洗ったシャツを渡す。
無言のまま、袖を通して着た。

パンツを渡す。
「向こうに行ってるから、自分でできるでしょ?」
そういってタオルもそばに置くと、真人に背を向けた。

すると、途端にガタンッと音がした。
慌てて振り返ると真人が倒れていた。
「真人!大丈夫?」
急いで真人を支えた。

「何年ぶりかに熱だしたから、ふらついた・・・」

「いいわ、横になって真人。着替えさせてあげるから」

「やだよ・・・。いいよ・・。」
まぶしげに手で目をふさいで、横になりながらも肩で息をしていた。

「見ないから、ほら、向こう向きに横になって。」
遼子は壁側に体をむかせて、真人のパンツを脱がせた。
腰からオシリ、足をテキパキとタオルでぬぐうと、新しいパンツを足から通す。

「ほら、腰すこし上げられる?そうそう。・・・はい、穿けた」
遼子も大きく息をついた。

汗まみれの下着を、使用後の袋に入れた。
そのついでに、冷蔵庫からスポーツドリンクと、もう一組の下着を持ってきた。

「何か食べられる?欲しくなくても水分はしっかり取ってね。それとこれ、
また、汗をかくようだったら面倒くさがらないで着替えてね」

「遼子さんを食べたい」
背中を向けていた真人が振り向いた。

「はいはい、冗談が言えれば安心しました」
そう言いながら、スポーツドリンクを手渡す。

「遼子さんとキスしたい」
ドリンクを喉を鳴らしながら半分ほど一気飲みしたあと、真人は遼子を見つめて言った。

「いやよ。風邪を移さないでよね。大事な時なんだから」
いたずらな微笑で帰り支度をする遼子の手を掴んで引き寄せる。


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