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【家族 その他小説】

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「ん、しょ!重い〜」

ちょっと買い過ぎちゃった。
お昼の分の材料と、ついでに晩ご飯のも買っちゃったから・・・

兄貴が留守番してるから早く帰らないと。一人にしちゃうと大変だから。
家を出てからそんなに経ってないから大丈夫だとは思うけど。

「留奈ぁあああ!!」

・・・なんて思った私が浅はかでした。
「今まで一体どこに行ってたんだ!」
「買い物だって言ったでしょ」

やめてよ。
お客がみんなこっち見てる。そんな大声出さないで・・・!

兄貴は額に汗を浮かべて動揺している。
昔からこうなんだよね、私が少しでも長く外出すると探しに来るの・・・
失敗しちゃったな。今日は眠そうだったから、すぐ帰れば問題無いと思ったのに。

「重いから半分持ってくれる?兄貴」
「なんだこれは。誰へのプレゼントだ!」

はい?プレゼント??
訳の分からない事言ってないで持ってよ。重くて大変なんだから

「兄貴へのプレゼントだよ。お昼も夜も美味しいご飯作ってあげるね」
「別にいいよ。外で食うから」

良かった、すぐいつもの兄貴に戻ってくれたみたい。
こうして心配してる時は大げさになって、周りの事が見えなくなるから・・・

「帰るぞ。休みの日にいつまでもふらふら出歩くもんじゃない」
「ちょっと、兄貴速いよ。待って〜!」

私の都合も構わず、材料がぎっしり詰まった袋を持ってすたすた歩いていく。
心配で見てたら思った通り転びそうになった。まったく、目が離せないんだから。
私の事を心配してくれるのは嬉しいけど、たまには自分の事も考えてよね。

帰ってお昼ごはんの下ごしらえを始めたら、兄貴が手伝ってくれた。

「ありがと兄貴♪大好き!」
「やめろ、馬ぁ鹿」

スーパーまで息を切らして走ってきた、さっきみたいな雰囲気はすっかりどこかにいっちゃったみたい。

「痛っ!指切った」
「大丈夫?舐めてあげる、指見せて」
「いいっつうの。やめろ、これくらい自分で治す」

兄貴はあまり器用じゃない。
そして、普段は自分から料理をしようとしない。
・・・だから、こうやって手伝ってくれるのは嬉しかったりするんだ。

「兄貴♪手つきいいじゃん」
「当たり前だ。本気出したらお前より旨いの作れるぞ」
「じゃあ作って」
「やだ。面倒だ。何故わざわざ作らなきゃならないんだ」

・・・待ってるよ、私。
いつか兄貴が美味しい料理を作ってくれるの。

ふふ、でもいったいいつになるのかな?


〜おしまい〜


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