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【家族 その他小説】

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「な、なぁ・・・もういいだろ?」
「何が?」

な、何がって・・・わかってるくせに。
こうして同じソファーに座るのがもういいって事だ。
親父とお袋が朝早くから用事で出かけたと知ったのはついさっきだ。

・・・こいつに起こされて。

「まだお母さん達が帰ってくるまで時間あるし、もっといちゃいちゃしよ♪」
「寄るな。暑苦しい」
「照れてんの?兄貴」
「寄るな、触るな。呼吸をするな」

どうしてお前はこう、隙あらば近づこうとするんだ。
まだ幼稚園児とか小学生ならともかく、俺は来年受験生だぞ。お前は今年高校生になったばかりだ。

友達で妹がいる奴は大体、というか全員近寄る事すら嫌がるみたいで・・・
同じく俺もこうしてベタベタされるのは好きじゃなかった。いつまでもガキじゃないんだぞまったく。

「お腹すいてるでしょ兄貴」
「別に・・・」

言い掛けたところでみっともなく腹の虫が鳴った。
・・・おい、笑うな。なんだその勝ち誇った様な笑顔は。何も勝負なんかしてないぞ。

「じゃあ留奈が兄貴のためにご飯作ってあげるね」
「頼んでねえっつうの」
「・・・陽兄ちゃんのために作るんだから、素直にはいって言いなさい」
「わ、分かった、よ」

妹は時折俺を名前で呼ぶから油断ならない。
ほ、ホントはいらなかったんだけど驚いたからOKしちまったんだ。誰がお前の作った料理なんか・・・

エプロンを着けてキッチンに立つ後ろ姿を何気なく見る。
色気の無い体だな。まったく括れの無い見事な寸胴、ぺったんこの薄いお尻。
こいつを女として見るのは無理だろ。色気がなさすぎるからな。まったく・・・

「は〜いできたよ〜。留奈特製・お月見パスタ!」

妹はよく俺に料理を作って食わせようとする。もう何年も前からずっとそうだ。
まだ小学生の頃はそりゃもう食えたもんじゃなかったが、最近はまともになってきた。

「あ〜〜〜ん」
「自分で食うからいいよ」
「はい、あ〜〜〜ん」

いつもの通り返事を無視し、スパゲティをフォークでくるりと一巻きして俺の口に運ぶ。

「美味しい?」
「・・・・・・そこらの店と変わらない味だな」
「ちゃんと食べたね。よしよし♪」

頭を撫でるなっつうの。やめろといってるんだ!
一応気は利いてるな。卵の焼き加減が俺の好きな半熟だし、麺の湯で加減も柔らかめ。

ま、まぁ、長い間料理してれば俺の好みも把握してて当たり前だしな・・・


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