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『滝くんの愛読書』
【学園物 官能小説】

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『滝くんの秘密』-10

ソファーに座って滝くんがいれてくれたアップルティーを飲んでいると、お父さんがリビングに現われた。

「お待たせしてごめんね」

部屋着に着替えてもその美しさは変わらずでとてもお父さんと呼べる雰囲気ではない。

「あ、あの〜…滝くんのお父さん…と呼んでよろしいのでしょうか?」

隣りに腰を下ろしたお父さんに私はおずおずと尋ねた。

「うん。浩司さんでもいいわよ。お店では桜だけど」
「お店?」
「おかまバーだよ」

お父さんの分のアップルティーを運んできた滝くんは投げやりにそう言い捨てるとすぐにキッチンへ戻ってしまった。

「龍之介機嫌悪いわね。こゆきちゃんに私の事がばれたからかな…知らなかったよね?」
「はい…お父さんのお仕事を尋ねたら秘密って言われて…」
「そう…まあ当然だよね。こゆきちゃんかなりびっくりしたでしょ?」

私が曖昧にうなずくと滝くんのお父さんは少しさみしそうな表情をして話始めた。

「昔は普通に商社で働いてたんだけどね。もちろん男として。龍之介が小学生くらいの時急に目覚めちゃってね…。それで奥さんは出てっちゃったの。前はお店に出てたけど今は専ら経営側。今日は新しくオープンする店舗の内輪だけのお披露目会だったのよ」

(それでドレス着てたんだ…漫画みたいな話だなあ…)

話しながらお父さんはだんだん涙声になってきた。

「私が忙しくて龍之介はいつも一人でね。家事なんか完璧にできるし頭もいいけどあんまり人付き合いが得意じゃないみたいで…。私のせいで友達を家に呼んだりもしにくかったと思うし。でもね、ちょっと冷たい感じがするかもしれないけどいい子なのよ」
「分かってます!滝くんはとっても優しくていいところがいっぱいあって私は大好きです!」

お父さんを元気づけようと私は力強くそう言った。

「こゆきちゃん…」
「だから滝くんのお父さんのことも大好きです!初めはびっくりしたけど、こんなきれいで仕事のできるお父さん素敵です!」

私の言葉に滝くんのお父さんはきれいな目をうるうるさせてだきついてきた。香水のいい香りがふわっと漂う。

「うぅ〜ありがとう〜」
見掛けはきれいな女性でも本当は男の人。お父さんの力はとても強く、異変に気付いた滝くんが止めに来てくれなかったら私は窒息していたかもしれない。
昔のお父さんの写真をみせてもらったりーかなりのイケメンだったー、アイメイクについて教えてもらったりして盛り上がっているうちに滝くんの手料理が出来上がった。どれもすごくおいしくて私は改めて滝くんの凄さを認識したのだった。


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