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葉月の夜に
【ファンタジー 官能小説】

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葉月の夜に 第二章「定められた運命」-1

森に日が差し込み始めた頃、私は屋敷の外れに立っている墓の前で手を合わせていた。
「おはようございます…父様……」
私の父は私が小学生の頃に病気で亡くなった。以来こうして毎朝墓の前で手を合わせている。
「葉月、おはよう」
「ッ!…あっ母様…おはようございます」
「そんな驚かなくてもいいでしょ?」
「だって母様、まるで幽霊みたいに気配がなかったものですから」
母様は私の言葉に少し眉をひそめ、
「幽霊なんて失礼しちゃうわね…ちゃんと脚もあるわよ」
「アハハ…すみません母様」
「ほらそろそろ行かないと学校遅れるんじゃない?」
「あっそうですね。行ってきます」
そう言い、私は屋敷に戻った。



屋敷の前には私の鞄を持った詩織が立っていた。詩織から鞄を受け取り、
「ありがとう、行ってくるね」
「はい、いってらっしゃいませお嬢様」
私はこの森の草木の自然の匂いが好きで、登校するときは歩いて森を抜ける。そして電車とバスを乗り継いで学校へと向かう。
その日もいつものように森を抜け、駅から電車に乗り込んだ。通勤、通学の時間帯だけあって電車の中はかなり混雑していた。
はぁ…相変わらず混んでるなぁ。森の中を歩くのは好きだけどこの人混みは嫌い。
憂鬱な気分になりながらも人の間に身を挟み電車は発進した。
あ〜あ、早く着かないかな。ん?…あれ……?何だかお尻に違和感が…。
鞄とかが偶然当たってるだけなのかな…?
しつこく違和感が続き、やがて撫で回すように動き始めた。
これって…まさか…痴漢!?
手で払おうとするとスッと離れていった。ホッとしているとまたお尻を触り始める。
嫌…辞めて…。
恐る恐る後ろを向くと40代くらいのスーツを着た男性がニヤニヤしながら立っていた。その男の手はスカートの内側に入ってきて下着の上からお尻を触ってくる。
怖い…怖くて…動けない…。
抵抗しないとわかるとさらに大胆にお尻をまさぐってくる。そして下着の上から敏感な部分を指でなぞり始めた。
「ん…ゃ…」
指は止まるどころかだんだん激しく動く。下着ごと指を中に沈め小刻みに刺激を与えてくる。
「はぁ!…くぅ…んッ…」
今度は下着を横にずらし直に指が入ってくる。耳元で男がささやく
「こんなに濡らしちゃって…いやらしい子だね」
痴漢に対する恐怖感、痴漢されて感じてしまう自分に対する嫌悪感などで頭の中はパニックになる。そんなこととはお構いなしに執拗に指で私の秘部をまさぐる男。
「あッん…ハァ…ハァ…ぃやッ…んんッ!」
すると車内に私が降りる駅の名前のアナウンスが響き渡る。
あとちょっと…。あとちょっと我慢すれば逃げられる…。
しかし男の指はなおも激しく私に快楽を与え続けている。私の中で奥からゾクゾクとした感覚が立ち上り始め、爆発しそうになったちょうどその時、電車のドアが開いた。
私は男の手を振りほどき電車を飛び出した。



電車の中での悪夢を体験した私は重い脚で学校に向かった。
はぁ…ほんと散々な目にあっちゃったなぁ…。
自分の席につき深いため息をつく。痴漢のせいでひどく濡れた下着は余計に私を不快にさせた。
そして登校して来るや否や
「なぁ葉月、悪いけど宿題見せてくれッ」
と顔の前に手を合わせせがむ悠志に苛立ちながら乱暴にノートを突き出す。
「おっサンキュー。ん?なんか今日はいつにも増して不機嫌じゃない?」
「別に…。あんたこそたまには宿題やって来たら?」
「うわっやっぱ不機嫌だわ。そんなピリピリしてたらシワになるよ?」
「うるさいッ!」
と悠志の頭をどつく。
まったく…人の気も知らないで!


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