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バレンタインデー
【失恋 恋愛小説】

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バレンタインデー-1

友達はメールで告るんだって。
違う友達は電話で告るんだって。
そう幼なじみの里津に話して、次にあたしがどうやって告るか教えたら

「は?結愛ダァッサ!今時ソレは無えだろっ!」

と大爆笑されてしまった。

「なっ!いいじゃん!ロマンチックで!」

まさかそこまでバカにされるとは思わなかった。

「ロマンっつーか…昭和?」

「平成生まれですけど!」

「平成でそれするお前は天然記念物!」

「…ひっど」

里津は私を指差してケタケタ笑った。昔からそうだ。
里津はあたしをバカにして見下して笑い飛ばす。
今回はリアルに落ちた。
何で?そんなにおかしいかなぁ。
バレンタインにチョコ渡しながら直接告白するなんて…。

「いやー、直接自体絶滅の危機にあるってのに結愛は」

ふん、何言われたって良いもん。
あたしは決めたんだ。
数日後のバレンタインデー手作りのチョコ持って先輩に告白するんだ!




愛を結ぶと書いて「ゆあ」という何とも乙女ちっくな名前を持つあたし。
そんなあたしは一個上の上条先輩に恋していた。
始まりは去年の5月。

「この本どこにしまえばいいの…?」

図書委員(無理やりさせられた)の私は、返却されてきた本を本棚に戻す仕事をしていた。
でも入学したばっかだし、何百冊もある中で元々どこに何があったかなんか知る訳ないじゃん。
あたしは本を抱えたまま図書室内をうろちょろしていた。
そんなあたしの元に先輩が現れた時は、本当に心臓が飛び上がった感じがした。

「それ、あっちの棚」

「え?あ、ありがとう、ございます」

そう指示されるがまま気が付いたら、本は全部本棚に収まっていた。

「あの…本当にありがとうございました!」

あたしが頭を下げるとその人はひらひらと手を振りながら笑った。

「ん、気にしないで。一年の時オレ図書委員だったから。そんじゃ」

しばらくドキドキが止まらなかった。
優しくて大人で笑顔も格好良くて、こないだまでいた中学とは全然違う。里津となんて天と地の差だし。
高校ってなんて素晴らしいんだ!と思った。
それからずっと先輩が好き。
でも恥ずかしくて話しかけらんないし、アドレスもケー番も知らない。
里津は「別にバレンタインだからどうだって訳じゃねぇだろ」って言うけど、あたしにはバレンタインデーしかないんだもん。
バレンタインデーっていう特別な日だから勇気が出てくる。
女の子が男の子にチョコを添えて愛を伝える日だもん。
それに乗じてあたしも、ずっと温めてきた気持ちを伝える。


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