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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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帰って来た男=恋敵出現!?-2

2 次の日
「……………」
「……そういや、こんな事もあったよな?あれは確か、小四の時に……」
「あぁ、そんな事もあったあった………」
さっきから、孝之の奴は、アタシの昔の話しかしてこない。
アタシは生返事を返し、憲は一言も喋らない。会話の内容についていけずに呆然としてる。
ちくしょー、やっぱ心配した通りになった。
「おっと、もう学校か。じゃあ、俺は職員室に行くから」
やっと消えた。
「……ごめんな、憲。」
「……ん、何が?何で誤るんだよ?」
「アイツのせいで、朝から不愉快な気にさせてさ」
「いや、不愉快だなんて。でも、白雪の事、あまり知ってなかったんだな、俺。」
ヤバイ、マジで孝之の思う壺だよ。
昔から、いつもこの手で始めるし。
段々、憲の自信を失わせるつもりだ。
何が『多分』だ!今回もしっかりと邪魔しやがって!!!
そう、昔っから孝之はアタシが男子と仲良くなるとこうやって破局へと導く死神だ。もちろんアタシが男嫌いになる前までの話だ。
母さんと一緒にフランスに行ってから、電話にも出なかったクセにアタシに男が出来たとたんにこれだ。
勘弁してほしい。

「……と言うわけで、二学期だけだが、矢城のお兄さんの矢城孝之くんがうちのクラスで勉強することになった」
………アタシは神様信じてないけど、もしもいるならドロップキックとコブラツイストと四の字固めを見舞ってやりたい気分だ。
よりにもよって同じクラス……嫌がらせか?
教師が出てって、僅かな休み時間にクラスの連中(特に女子)が群がっていく。
ふと、麻衣が廊下から手招きしてるのが見えた。
「なんだよ?」
「孝之、いつ帰ってきたの?」
「昨日……」
「ありゃ〜。もしかして、もう太田くんに……」
「俺がどうかした?」
麻衣が言葉に憲が反応してよってきた。
「ううん、ただ孝之には気を付けなさいよ!」
「え、どういうことだよ?」
「う、ううん、深い意味は無いのよ」
「そうか。でも、すごい人気だよな。白雪の双子だけあって、ハンサムだし」
「アタシは興味無いわ。やっぱ男より女………あ、あ〜休み時間終っちゃう!」
本音が出たな、麻衣。逃げても遅い。
憲はいまいちな顔をしてアタシに聞いてきた。
「……どういう意味ッスか?白雪さん」
「麻衣が漏らした通り」
女子中時代に、『そっち方面』の先輩に引きずり込まれてから、麻衣はああだ。
「……独には内緒な」
「なんで?」
「アイツ、白木さん(麻衣)に惚れてるから」
……ご愁傷様。


孝之が来てから、一週間が経った。
アイツは早くもクラス一の人気者になった。
頭脳明晰にスポーツ万能、甘いマスクがたまらない、なんて抜かしてるヤツがいたけど、アタシには馬鹿にしか見えない。それも思いっきりの馬鹿に。
孝之は一週間、憲にベッタリだ。少しでもわからない事はアタシではなく、憲に聞きやがる。
やれ、校内を案内してくれ。やれ、トイレはどこか、一緒に行こう。やれ、一緒に帰ろう(アタシを置いて)。
双子であるアタシには魂胆が見え見えだ。
「相変わらずね」
アタシの横にいる麻衣が言う。
小学校からの親友だ。孝之の性癖もアタシ並に詳しい。
「全くだ。いい加減、人のボーイフレンドに『奪う』のは勘弁してほしいぜ」
今、言った通りだ。孝之は『そっち』のヤツなのだ。
アタシが仲良くなった男に必ず手を出す。
初めて出したのは、小三の時か………仲良くなった藤島ってヤツに手をだして、結局藤島をその道に引きずり込んだ。
そうなった理由は知らない。どうも物心ついた時からそうだったらしいのだ。
「ちゃんと孝之には訴えたの?」
「もちろん、『憲はアタシのだから、手を出すな。だいたいお前、男だろ』って言った」
「……で?」
「『恋愛に性別は関係ない』なんて言いやがった」
タイトルの恋敵ってのはアタシを巡る憲の恋敵じゃない。憲を巡る、アタシの恋敵なんだ。頭が痛くなるよ。
「まぁ、大丈夫よ。太田くんは白雪を捨てて、その兄と一緒にそっちに進むような男じゃないって」
気楽に言ってくれるよな。アイツのしぶとさはスッポンも裸足で逃げ出すぞ。
仕方ない、最終手段を取るか。

「なぁ、憲」
憲のチャリに二人乗りしながら、アタシは話しかけた。横には孝之がいる。今がチャンス!
「最近さぁ、HGとか言うのが流行ってんじゃん。あれ、どう思う?」
「どうって、あのキャラで売ってるんだから良いんじゃないか?」
「じゃあ、迫ってきたらどうする?HGみたいのじゃなくて、本物のゲイのヤツが」
「俺に……?それは勘弁!!」
チラッと孝之を見れば……お、ショック受けてる受けてる。
「俺、先帰ってるな!!」
孝之は猛ダッシュで帰ってった。
悪いな、孝之。憲はアタシのなんだ。こんなに大好きな男を、お前なんかにやれるかっての
「……なぁ?もしかして、孝之って」
「聞かなくても、解るだろ?」
「………………」


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