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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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『白雪=完璧?』-3

3 「そろそろ七時だ。花火、見に行くか?」
焼きそばをしっかり半分づつ食べて、ゴミをゴミ箱に捨てながら携帯を見る。
七時から、荒舞川で花火が上がる。結構大きい川なので、上がる花火も比例する。他県からも見物客が来るぐらいだ。
「もちろん、とっておきの場所があるからさ、そこ行こうぜ!」
「とっておきの場所?」
「こっちだ」
白雪が歩き出すので、後を追った。
着いたのは、神社の裏手だった。
「どこだよ?」
「こっちこっち」
そう言って、白雪は近くに有った岩の上に乗る。
って、これ、荒神様の岩じゃ……、しめ縄もしっかり張り巡らされてるし。
「お、おい……ヤバくないか?」
「大丈夫、荒神様の岩はな、荒舞川の方に寄ると、見えなくなるんだ。もう十年は乗ってるけど、一度も見つかってないんだぜ」
……そういう問題じゃ。
「何だよ?罰なんて信じてんのか?神様なんていないのに」
「おいおい」
「神様ってのは、信じてる人が見てる世界にだけいるんだよ。アタシは信じてないから、世界には神様がいないのさ」
………正論だ。何故かはわからんが正論に聞こえる。
「まぁ、無理強いはしないよ。一緒に見たかったけど仕方ない、一人で見よ」
む……、そこまで言われて一緒に見ない訳にいくか。荒神様の岩によじ登る。
「何だ、来たのか」
「ご不満なら降りるけど?」
そう言って、降りるフリをする。
「あー、ウソウソ」
白雪が裾を掴んだ。フッ、勝った。
並んで座っていると、花火が色とりどりの火を散らして、夜空に開いた。
「……綺麗だな」
「あぁ、綺麗だ」
ふと、思った。人の一生ってのは花火にソックリだ。花火はパッと綺麗に自分を燃やして、自分がこの世にいる事を主張してるんだ。人間が何かをして、自分の存在を主張してるのと同じように。
じゃあ、俺たちはどうなんだろう?もう、燃えてるのだろうか?それとも、まだ飛び上がっていないんだろうか?
多分、両方の中間だ。飛び上がっている途中だ。全てはこれからだ。
「なぁ、白雪」
「……ん?」
花火色に染まる白雪の顔を見ながら、俺は言った。
「……ずっと一緒にいような」
「……うん」
俺たちは、そのまま唇を重ねた。
笑われるかもしれないが、俺は、結婚式の口づけのように、厳かな気持ちだった。

END


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