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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈国王篇〉後編-13

「あれで良かったのかな。」

歩きながら問いかける。誰が答えるわけでもなく宙に浮いたままの貴未の疑問符はそのまま静かに降りてきた。やがて貴未は静かに翼を広げ、カルサの下へと飛んだ。


「皇子、貴未が来ます。」

そう、千羅の声が聞こえる。

一瞬にして移動した先はカルサの私室だった。窓際には腕を組んで壁に背中を預けた千羅がいる。部屋の主はソファにも座らずに、光を身にまとい集中しているようだった。

「おかえり、貴未。」

千羅の声に招かれる。カルサを気にしながらも誘われるように千羅の下へと向かった。

「何やってんだ?」

「光玉を作ってる。」

よく見ると胸の前で手を差し出していた。手の中にはより強い光が溢れ、左手から右手へ、右手から左手へと流し落とす作業をしている。液体のような光はやがて重たく型取り始め、いつしか球体になっていた。

「すげぇ…。」

感動のため息がもれる。それは感じたままの素直な感想だった。

今まで見たカルサの力はどちらかと云えば攻撃的なものが多かった。降らせた雨を止ます事も、結界を張る事も、嵐を止めようとした時もどこか力強さやキレがある印象が強い。

しかし、こんなにも繊細でやわらかな力の使い方もするのだと初めて知った。しなやかな手の動きに思わず見惚れてしまう。

「美しいな、カルサ。」

「そんな事言うと後で怒られるぞ。」

行きすぎた貴未の感想にすかさず千羅は反応した。しかし口走ったのは本当にそう思ったからで、貴未はただただ食い入るようにカルサを見ていた。

そんな貴未が微笑ましくて千羅から笑みがこぼれる。

「綺麗な光だな。」

「ああ。」

見惚れたまま、貴未は当然のように答えた。

「この国に出来る、最後の仕事だそうだ。」

「え?」

思わず千羅を見た。視線を合わすと千羅は微笑み、もう一度カルサの方に視線を向けた。貴未も同じ様にする。

次々と作業を進めていくカルサの横顔は無心の物だった。出来上がった光玉は掌から離れ浮き上がる。カルサを包む光と触れ合うように、作業を続ける手の辺りで泳ぎ始めた。

「こうやって見ると、改めて力の差を痛感するよ。今あいつがやってる作業、オレには出来ないんだ。」

珍しい千羅の言葉に顔を向ける事でしか応える事が出来なかった。体を起こしてみると千羅の方が背が高い事が分かった。きっと拳1つ分位は違うだろう。

そういえば、千羅をこうやって近くでゆっくりと見るのは初めてかもしれない。


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