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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈国王篇〉後編-12

ーコンコン

「ハワード様?」

二度目の連絡に二人の意識は外に向けられた。

「入りなさい。」

扉に背を向けたままで応える。了解を得た女官は扉を開け、礼儀正しく中に入ってきた。

「失礼いたします。」

お辞儀をし、頭を上げて最初に見た景色は大臣と貴未の姿だった。背を向けたままの大臣から視点をずらすと貴未と目が合う。予想しない人物に女官は思わず貴未の名を呟いた。

貴未はそれに応えるように微笑む。

「用件は何だ?」

ハワードの言葉に意識を引き戻され、女官は慌てて仕事に戻った。

「お話し中、申し訳ありません。会議の前に話があるとサルスパペルト様がお呼びです。」

貴未は視線だけで様子を伺った。ハワードは固く閉じていた目を開け、顔を上げた。

「すぐに行く、外で待ちなさい。」

女官が外に出たのを確認すると、終わりを切り出したのは貴未の方だった。

「それでは私はこれにて失礼します。お時間を頂きありがとうございました。」

締め括りをハワードに委ね貴未は彼の言葉を待った。

「貴未、国を出る前にもう一度私の所に来てくれないか?」

話の流れで自分もカルサも、もうこの国には戻らないであろう事は伝えた。それを踏まえての事だろうが、別れを惜しんでいる言い方ではなかった。



「私一人で宜しいのですか?」

貴未の問いに低い声で肯定した。やはり様子が違う。

「分かりました。必ず挨拶に伺います。」

ハワードが頷いたのを確認すると、貴未は勢い良く頭を下げた。感謝の気持ちから少し長く下げたままだったかもしれない。

顔を上げ、敬礼をした後貴未は部屋を後にした。扉の向こうには女官がハワードの指示で控えている。貴未に気付いた彼女は軽く頭を下げた。

「もうすぐ出てくるから、ごめんね。」

貴未の言葉に微笑む事で応える。その表情で心が和んだ気がした。そこから踏み出す一歩はまるで鉛のように重く感じる。


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