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【FRY】
【コメディ 恋愛小説】

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【FRY】-2

「できたよ〜!咲さん!彩音特性、ラーメン定食」
どれだけ早いんだお前は?などとつっこみたかったがなんとか堪えた。
彩音はちゃぶ台の上にドンっとラーメンとチャーハンの入ったお盆を置くと、どうぞ召しあがれといったような感じで俺を見つめている。
俺は迅速に箸をとると、食べると言うよりはがっつくといった感じでラーメンを食べ始めた。
もうそりゃあ凄まじいモンだ。多分いまの俺なら地震がおきようが、アルマゲドンが落ちてこようが食べ続けるだろうな。俺は僅か数十秒の内にスープ1滴、米粒1粒も残さず平らげた。ある意味、ギネスブックに挑戦できるか?
飯も食い終り餓死する恐れがなくなった俺はここで1つおかしな事に気が付いた。
俺の目の前で満足そうな笑顔を浮かべているこの女。いまは真っ昼間だ・・。学校はいいのだろうか?一応聞いてみる。
「おい。お前学校はいいのか?」
すると彩音の先ほどまでの笑顔は急に崩れさり何か大切な事を思い出したような表情に変わっていった。
「学校!大変っっ!昼休み終っちゃう!」
彩音は急に立ち上がりそう言うと鞄を片手にもち居間を飛び出していった。
俺もとりあえず彩音の後を追って居間を出て、玄関に行くと必死に靴をはいている彩音の姿があった。
「咲さん、私ガッコ行くから。ゆっくりしていってね!」
彩音は靴をはき終ると、クルッと俺の方に向きニコっと笑いながらそう言うと走り去っていってしまった。あいつ間に合うのか?なんか急に罪悪感を覚えた俺は、あいつの後を追おうと思い玄関を出た。
玄関を出ても、もちろん彩音の姿はない。ふと目を反らした先に、あのシ〇ア専用バイクがあった。キーはついている・・が、俺は原付の免許しか持っていない。
だがこれならば彩音を乗して学校まで突っ走れる。しかし一歩間違えば俺は永遠にスクラップだ。ええい、迷っていてもしょうがない男は根性だ!やってみなけりゃ分からん。
俺はバイクに股がるとキーを回しエンジンをかけた。原付なんかとは比べ物にならないほどのパワーと躍動感を感じる。思わず、凄い!エネルギーゲインが5倍以上だ!などという名言が飛び出しそうになるのを堪えそのままとりあえず前に向かって走り出した。
凄いスピードのまま突っ走っていると直ぐに、走っている彩音を見付けることが出来た。都合よく道はあっていたみたいだ。俺は彩音の前にバイクを止め、こう言った。
「送ってやる。乗れ」
彩音は暫く立ち止まりキョトンとしていたが直ぐに俺の後ろに乗った。
「ありがとう咲さん。でもそれお母さんのバイク・・」
「・・お母さんには内密に頼む」
俺は彩音から学校までの道順を聞くとバイクを少し遠慮しがちに発進させた。こんなバイクに乗るおばさんだ。傷でもつけたら命をとられかねん。やはり、このバイクだけに昼休みが終る数分前に彩音を学校まで送ることができた。彩音はバイクから降りると、俺に手を振りながら学校に向かって走っていった。
俺もバイクから降りた。暑さのせいか、病気のせいか頭がフラフラする。俺は頭を片手で押さえながら、木陰に入り木にもたれかかった。
木陰は適度に心地良い風が吹き、俺の煮えきった鍋の様な体を徐々に冷ましていってくれた。
俺はそのまま目を閉じた。
・・・・、重たい瞼をゆっくりと開け、空を見上げると空はもう朱色に染まっており昼のような暑さも少しマシになっていた。どうやら眠ってしまっていたみたいだ。
「あ〜、咲さん。もしかして待っててくれたの?」
前方から聞き覚えのある声がしたので視線を上から前に戻すと彩音が手を後ろに組ながら俺を見つめていた。
「只の偶然だ。それより送ってやるからバイクに乗れ」
俺は立ち上がり目を擦りながら静かに呟いた。
俺は昼と同じように彩音を後ろに乗せ、家に向かってバイクを走らせた。彩音の家につくと、昼とは違い見覚えのない白い大型のバイクが停めてあった。こんどはガ〇ダムかよ!
俺は白いバイクの横にバイクを停め、バイクから降りた。
「咲さん、夜ご飯も食べていく?」
バイクから降りるなり彩音が話しかけてきた。断る理由はどこにもない。
「いいのか?じゃあいただきます」
俺はそう言い、彩音の後について家にあがった。


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