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近距離恋愛
【学園物 官能小説】

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近距離恋愛−vol.1-2

「お前、泣いてんの?」
「泣いてないです!じゃあ!」
今日帰るのは先輩のせいだ、と自分に言い聞かせて走ろうとすると、先輩が私の腕をガッシリ掴んだ。
「ちょっと、来い。」
強引に、先輩は私を自分の部屋にあげた。
先輩の部屋は、勇の隣の部屋だった。
勇と半年付き合っているのに、気付かないなんて……。
たばこ臭いけれど、掃除はちゃんとしてあって、グレー系統の家具が並ぶ落ち着いた部屋だ。
「はい。」
そう言って先輩は、ぶっきらぼうにタオルを渡してきた。
「…あ、どうも。」
なんで、私は、先輩の、しかも男の家に足を踏み入れているのか。
このシュチュエーションは一体何なのか。
私はどうして先輩の前で泣いてるのか。
頭を混乱させながら、濡れている髪を拭いた。
「違う!」
「え?」
急に何だよ!と思いながら、私はさらに頭の回転を上げることになった。
「風呂、シャワー!」
「は?」
「浴びた後に使え!」
「え…あ、このタオル?」
風呂はそこだ!といわんばかりに、指をさしながら先輩は軽く頷いた。
「じゃあ、お言葉に…甘えて。」

先輩の優しさと、シャワーの温かさが身にしみる。
やばい、また泣きそう。
外の雨の様に降りそうな涙を、ぐっとこらえて私は体を温めた。
あーこのまま先輩とやっちゃうコース?
いやそれは避けたい。
でも……泣いてる女=私=勇が浮気で傷心中+シャワー浴びてる=……ヤる?
今日先輩とヤる確率を、頭の中で計算していると
「大丈夫かー?」
と遠くから先輩の声が聞こえた。
「あ、もうでます!」
急いでシャワーを止めて、先輩から借りたタオルで体を拭いた。
タオルの横には、いつのまにか、男物のスエットが置いてあった。
ノーパン、ノーブラはしょうがないか……と思いながら、私は有り難くそれを着て、リビングに戻ると、先輩は煙草を吹かしていた。

「あの、ありがとうございました。」
「あーうん。」
「服まで……すみません。」
「いいよ。びしょ濡れだったから、お前の服と下着、洗っといた。」
「え?!あの……すみません……。」
下着は、いつでも勇と交えられるように勝負してるが、ありがた迷惑って、こういう事?
「なんか、飲む?」
「あ、すみません。」
「……なんか謝ってばっか!」
初めて先輩が照れた笑顔を見せた。
意外とキュンとするハニカミ具合だ。

「ん……。」
そう言って、先輩はホットカフェオレを出してくれた。
「ありがとう。先輩、1つ気になる事が……。」
「何?」
そう言いながら、先輩はまた煙草に火をつける。
「二次会行ってませんでした?」
「……早退。」
先輩はそういうと、耳だけ赤くした。
その理由を知るのは、もう少し先の話。
「ふーん。」
「その格好じゃ帰れないし、今日は泊まってけ。隣にも入れねーだろ?」
そうだった。
"先輩と私in先輩の部屋"という、不思議な展開に、勇が隣で浮気していた事は何故か、忘れてしまっていた。
「いいんですか?」
確かに助かる。
でもヤっちゃうのは戴けない。
隣には彼氏がいるって言うのに……。


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