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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 最終話「告白しタイッ!?」-28

*―*

「……なにか食べたい」

 ポツリと言い出した里美。
 不意に立ち止まり、手を引こうとする紀夫を引き止める。

「そう、買ってくるよ」

 せっかく握り締めていたはずの手を解き、きらびやかなほうへと歩き出す。

 ようやく出会えた想い人はきっと手に入らない存在。
 本当は一緒にいたいはずなのに、決別の言葉に怯え、苦痛にすら感じてしまう。

「……いいよ、一緒に行こうよ。お祭りだもん」

 解けた紐を結びなおす汗ばんだ手。
 それすら逃げ出したい罰。

「そう、わかったよ」

 過去のらんちきぶりを罰するのは彼女なのか、それとも彼なのか?

「たくさん並んでる。ねえ、やっぱりやめない? そうだ、焼き鳥がいい! 皮とねぎ間。それに牛タンたんてのもあるんだね。ほら、行こうよ」

 ワタ飴屋に並ぶ子供たちを見た途端、里美は根を上げた。それだけならまだしも天使のスマイルつきで彼を見る。

「ああ、そうしようか」

 そのギャップが、理由がわからずにただ頷くばかり。
 一方で着たいする自分がいる。
 境内まではあと百ほど階段があるはず。
 彼女は自分に微笑んでくれる。
 それまでにもしかしたら?

 そんな淡い期待。

*―*

 焼き鳥屋に並ぶこと十数分、タレを焦がす炭火がおいしそうな匂いを周囲に振りまき、二人ともおなかがぐうと声を出す。

「やだ、紀夫ったら」
「里美こそ」
「私はそんなはしたないことしないもん。全部紀夫のだもん」

 紀夫の汗ばんだTシャツをばしばしと叩いたと思ったらふてくされてそっぽを向く。それでも焼きたての牛タンを勧めれば口元をほころばせて手を伸ばす。

「ホント食べるの好きだね」
「だって食べ盛りじゃない。それにそうじゃないと勝てないもん!」
「がんばってよ。応援してるからさ」
「うん。ありがと」
「じゃあ、今度は何食べる?」
「んーとね、そうだ、チョコバナナ、それと、のども渇いたしジュース。あとね、あとね……」

 一度火が着いた運動部の食欲は止め処が無いらしく、要求がどんどんと連なっていく。

「いえっさー、ミス里美」

 恭しくお辞儀してそれらの店舗を周り始める紀夫も、やや、つかの間、もしかしたら不安を忘れていられるのかもしれない。


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