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初恋はインパクトとともに
【青春 恋愛小説】

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初恋はインパクトとともに ♯4/ステップアップハートビィト-11

今日、僕はホント久しぶりに竹刀を握った。
剣道なんてどうでもいいって思ってた…けど、体は正直だ。竹刀が何か手のひらに馴染んでそれだけで気分が良かった。もしかしたら昔みたいに、始めたばかりのあの頃みたいに、剣道ができるんじゃないかって思った…いや、願った。だけど…僕の頭はそういうふうにはできていなかった…やはり、また意識が白くなる。いつものように…
それは僕が求めた歪んだ強さの代償だった…
僕の剣道は…暴力でしかないのだから。


ったく、どこをほっつき歩いているんだ?
一緒に弁当を食べようと言ったのはアカネだろう?
いつもこうだ…私が必死に探せば探すほどアカネは見つからない。
会いたい時に限ってなかなか会えない。
追えば追うほど捕まらない…まるで鬼ごっこみたいだな。
観客席にもいない。となると一階か?
私は知らないうちに走っていた…何か気が焦る。
アカネと過ごせる時間が1分1秒でも減るのが嫌なんだ……
(くぅ…どこなんだいったい)
階段を下る時間も惜しいと感じた私は観客席から武道場へと身を翻し飛び降りた…
直後、君君困るよ〜と偉そうな髭面のスーツ姿が近づいてきたが無視した…
アカネが見つかったんだ…
彼はのんきにも裏口の扉にもたれ掛かり眠っていた…それはそれは気持ちよさそうに。

スウスウと寝息をたてていた。
本当に穏やかな顔で気持ちよさそうに眠っている…
(こんな所でよく眠れたな)
しかもいつの間にか丁髷してるし…
いつものアカネに出会った気分になった。
まあその…私は丁髷頭のほうが…その…気に入っているからな。
ツンツンと頬を突っついてみた…変化無し。
今度は脇を突っついてみた…少しこそばゆかったのか、表情がゆがんだ。
全身を見回し、顔を近づけてみた。
眉毛はきれいに整っていた。むむっまさか抜いたり剃ったりしているのではないだろうな?そんな事していたら私の評価は下がるんだからな?
いがいと福耳だった。
まつげは長い。
目は大きいんだが…アカネは何だか何時も半目開きなんだよな…もっとパッチリ開ければいいのに。
唇は薄く…アカネの…く、くち、くちび…
な…何を考えてるんだ私は…
知らぬ間に顔が信じられないくらい近づいていた。
私は思わずアカネをドガッ!と払いのけてしまった…
「し…しまった!」
彼を引き起こそうと手を取った私は、何か生暖かいものを感じた。
(…血か?)
彼の左手から血が出ていたんだ。大した量ではないが、親指と人差し指の付け根にはえぐれたような傷があった。
(これが剣道をやめた原因なのか?見た目よりひどい傷なのかな?)
とりあえず手当しないと。
包帯に、ガーゼに薬!薬!
何か必要以上にアタフタした。
「あ〜っとえ〜っと」
考えてても始まらない…医務室とか保険室とかあったかな?
彼の前でアタフタしていると、ボンッという音とともに白い煙が…
「けほっ!けほっ!」
煙の中から表れたのは……救急箱だった。
(…八雲だな)
誰の仕業かはすぐにわかった。大方どこかで盗み見ているのだろう。
まあ、今回だけは見逃してやることにした。
(後でからかわれそうではあるが…)

包帯を巻くのって結構難しいんだな。何か巻いてるうちに自分の手が巻かれていたり、肩までぐるぐる巻きになっていたり…
「あの…自分でやりましょうか?」
そう、アカネは目を覚ましている。傷口に薬を浸けたとたんに飛び起きたんだ。
(まったく軟弱な奴だよなあ?)
まあ、私が薬を間違えたのも原因の一つであるかもしれないんだけど…
そんなこんなで、悪戦苦闘の甲斐あって完成した。我ながら満足のいく出来だ。
「あ、アキラさん?指動かせないんですが?」
「そ、そのほうが…は、早く治るんだぞ?」
「何か…ドラ○もんみたいだな」
確かに団子巻きになってはいたが…
「み、右手が動くんだから良いだろ!」
結局、巻きなおしてやった。今度は満足そうな顔をしてくれたので良かったが…


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