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恐るべき子供たち
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恐るべき子供たち-5

「…うう…」

 時刻が9時を過ぎた頃、由美が突然、表情を歪めた。

「どうしたのッ?」
「…だ、大丈夫…すぐにおさまるから」

 寺内はピンときた。生理痛なのだろうと。

「しばらく休んでようか?」
「…いい。大したこと無いから」

 由美は提言を断り勉強を続けようとする。
 しかし寺内には、時折見せる痛々しい顔は、彼の心を強く締め付けた。

 そして、何度めかの痛みに耐えていた時、

「今日は止めよう。そんな状態じゃ、集中できないよ」

 寺内はそう云って荷物をまとめだした。すると、帰ろうとするのを由美が止めた。

「だったら先生、わたしのお願い聞いてくれない?」

 懇願する瞳は潤んでいた。

「…なんだい?お願いって」

 戸惑い顔の寺内。由美は恥ずかしそうに呟く。

「時間まで、お腹をさすってくれない?」
「お腹って…それはお母さんに頼めば…」

 唐突な依頼は、寺内から正常な思考を奪い去る。

「この時刻ならパパが帰ってるから、ママはパパの世話をしてるハズよ。だから、先生にしか頼めないの」
「わかったよ。さすれば良いんだね?」
「まって」

 由美はイスから立ち上がると、おぼつかない足取りでベッドに横たわった。

「ここならいいわ」

 薄いキャミソールやショートパンツから出た太腿や胸元。それらは、幼い由美の体躯を寺内に晒していた。

「じゃあ、さするよ…」

 寺内は、ベッドに腰かけ手を伸ばした。
 指先がはかすかに震えている。彼は生まれてこの方、母親以外の女性と触れたことなどなかったのだ。

「こ、この辺かな?」

 へその辺りに掌が付いた。薄い布越しに由美の体温が伝わってくる。

「…ううん、もっと下」
「じゃあ…この辺?」

 指先がショートパンツの縁にかかる。掌はさらに汗ばんできた。

「違うの…もっと下なの」

 寺内は云われるままに、ショートパンツの上に手を置いた。


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