投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

「瓦礫のジェネレーション」
【その他 官能小説】

「瓦礫のジェネレーション」の最初へ 「瓦礫のジェネレーション」 21 「瓦礫のジェネレーション」 23 「瓦礫のジェネレーション」の最後へ

「瓦礫のジェネレーション」-22

美咲は助手席からぼんやりと窓の外を見ていた。海の上を雨雲が低く覆っている。昼下がりとは思えない暗い空だった。
(ここまでは確かにあなたの方が一枚上手だったわ、市丸さん)
美咲はそれでも美咲だった。市丸は酔いが醒めるまでの間にさらに二度絶頂へと導き、美咲の体を堪能しつくしていたのだが、そんな状況でも美咲はなんとかプライドを保ち、ついに最後まで自ら求める言葉を口にすることはなかった。しかし、今美咲の頭の大半を占めているのは陸への思いだった。陸に会いたい、今すぐ。
偶然車は陸の住むマンションの近くを通り掛かった。美咲は大きな声で
「停めて」
と言った。
「ここで? 家まで送りますよ。バッグもお持ちじゃないのに、どうするんですか?」
「ここで降りるのよ。降ろして」
美咲の剣幕に、市丸も従わざるを得なかった。ウインカーを左に出して車を停める。
美咲は車を降りてドアを閉めながらひとこと言った。
「あんまり調子に乗らないことね、市丸さん」

陸は出かけているようだった。合い鍵は渡されていたが、電車内で盗まれたバッグの中である。仕方なくドアの前で待つこと3時間。陸が帰ってきた。
「美咲?どうしたんだよこんなところで。大学行ったんじゃなかったのか?」
「うん、ちょっと……」
「どのくらい待ってたんだ?電話してくれればよかったのに……それに鍵だって渡してあっただろ?」
陸の顔を見て美咲は安心したのか、張り詰めていた気持ちが崩れていった。
「陸……」
いきなり胸の中に倒れこんできた美咲の体を支えながら、陸はただならぬものを感じていた。
「とにかく中へ入って」

アジトにしていた雑居ビルが再開発事業で取り壊された後、陸はこのマンションにひとりで住んでいた。海に近いところにあるマンションは、広さこそ美咲の部屋には及ばないが、窓から見える景色が綺麗だった。ドアを開けて部屋の中に入る。ドアに鍵をかけた瞬間に、美咲は陸にしがみついていた。
「お願い、陸、抱いて。今すぐ抱いて」
「ちょ、ちょっと待て!落ち着け、美咲」
陸は美咲をソファに座らせると、冷蔵庫から缶ビールを2本取ってきて片方を美咲に差し出す。
「ほら、ちょっと落ち着けよ」
「……ビールはいらない」
美咲は不機嫌そうに顔をそむけた。何かが美咲の身に起きたことだけは間違いない。しかしそれが何なのかを美咲にしゃべらせるのは一苦労だ。陸は美咲と始めて結ばれた日のことを思い出していた。
「じゃあ今水持ってくるから少し待ってて」

差し出されたコップの水を、美咲は一息で半分以上飲んだ。それから、泣きそうな顔になっていた。いつもの気の強い美咲からは想像のできない姿だったが、陸にとっては懐かしい、幼馴染みの美咲を思い出させる。
「陸、何も言わないで今すぐ抱いて……でないと、私……」
「何があったのか聞きたいんだが……」
「抱いて。そうしたら話す」
(これはただ事じゃないな。一体なにが……まさか?)
「わかった。シャワー浴びてくるか?」
「いい。このままで」
陸は美咲を抱き寄せると、そのままベッドに横たえた。ブラウスを脱がせようとした手が脇腹にふれると、美咲の体がビクンと大きく跳ねた。
(え?何だ?)
陸は戸惑った。美咲とは幾度となく体を重ねたが、こんな反応は初めてだ。女性経験は十分すぎるくらいある陸は、美咲の体が特別に感じにくいことや、それがおそらく不幸な初体験に起因する精神的なものであることは熟知していた。何年もの間その傷を癒すことに陸は常に心を砕いてきたのだった。なのに突然今日になってこの反応は一体……。陸の心に嫉妬の炎が点った。
「美咲、お前……」
「いや、陸、顔見ないで……」
美咲は両手で顔を覆う。陸は美咲を抱き締めると、顔を覆っていた両手をどけて唇を重ねた。そのままブラウスのボタンを外し、ブラのホックも器用に片手で外すと、上半身を抱き起こしてブラウスとブラを腕から抜いた。
左の鎖骨の下には明らかにつけられたばかりのキスマークがあった。よく見ると二の腕にも。そっとそこを指でなぞると、美咲の体がまた大きく反応した。乳首はすでに充血して、いつもよりも濃い、黒ずんだといってもよい色をしている。陸は動揺を抑えながら下半身からも服を剥ぎ取る。内ももにうっすらと痣のような痕がある。
(誰かとしてきたっていうのは間違いないな。誰なんだ相手は……)


「瓦礫のジェネレーション」の最初へ 「瓦礫のジェネレーション」 21 「瓦礫のジェネレーション」 23 「瓦礫のジェネレーション」の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前