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天使のすむ場所〜小さな恋が、今〜
【理想の恋愛 恋愛小説】

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天使のすむ場所〜最後のドライブ〜-2

「パパ、頑張ってるから。手、握っててあげよう。」



私は二人の子供にそう促した。看護師さんは、それを見てゆっくりと病室をあとにする。私は、直人の手を再度握って、話しかける。



「パパ、この前話してたあれ、覚えてる?」



それは、4日前。まだ、こんな日がすぐに訪れるなんて思ってなかった。あの時、直人は分かってたんだね。直人らしいね。あの日を、私達の最後のデートにしたかったんだね。





―4日前―

「今日はいい天気だね〜。秋晴れってやつかな。」

4日前、直人は4人部屋の病室から空を見上げて呟いた。直人と私が22歳で結婚して、10回目の秋を迎えた。大学時代からの大恋愛で、結婚して子供が産まれてからも、手を繋いで歩く程仲が良かった。お互い32歳。これから、もっともっと楽しい事があるって思ってた。まさかこんな早くに、最愛の人を失うことになるなんて、10年前は思ってもみなかったのに。



3年前に、直人は肝臓に癌が見つかり手術を受けた。2年前に再発。どんな治療も、弱音を吐くことなく受けてきた直人。私も、傍でずっと一緒に戦ってきたつもりだった。けど・・・ついに神様は直人に「死」への切符を渡してしまったんだ。



「こうゆう日はさ、ドライブとかいいよね。やばい、俺今から行きたいんですけど。」




直人はおどけたような顔で、私に話しかける。私は苦笑いして、



「あのね〜。そんなパンパンの足とお腹でどうやって運転するのよっ!」



病気のせいで水が溜まり、カエルの様に膨れ上がったお腹を軽く叩いて答える。足もむくみがひどく、あんなに引き締まっていたふくらはぎが、ゾウの足のようだ。



「え〜。だって今日結構調子いいよ。大丈夫だって、先生だって行きたいとこ行って来いってさ。もう後ないんだし。」



こうゆう残酷なことを直人は、さらっと口にする。私がどんな思いで一昨日の先生の話を聞いていたか、まるで分かってないみたいに。一昨日、直人は主治医の松村先生にこう尋ねた。


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