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強引な恋
【青春 恋愛小説】

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強引な恋-2

今から1年前の話。あたしは高校に入ったばっかりで、慣れない環境のせいか熱が出て保健室で寝ていた。
「風邪でも引いた?一年生」
「え!?」
「上履きの色。赤が一年じゃん」
隣のベッドで同じく寝ている彼、サッカー部の一個上の先輩。授業が終わるまであたし達はずっと喋っていた。この日がきっかけであたし達は仲良くなって、流れで付き合うようになった。あたしの方はどんどん気持ちが大きくなっていってやきもちもすごい妬くようになっていった。そんなある日、先輩が知らない女と帰っているのを見かけたあたしは、すごい怒った。そして…振られた。
その先輩のことが忘れられない、往生際の悪いあたしが書いたラブレターもどきが、奴がちらつかせてきた紙。
「何であんたが持ってんの!?」
「CDにはさまってたから」
「返してよ!!」
「やだ。えなちゃん浅沼先輩のこと好きなんだぁ。えなちゃんは知らなかっただろうけど俺もサッカー部なんだよね。浅沼先輩かぁ、ふーん」
そう言って嫌な笑みを浮かべる奴。もし先輩にこの手紙を見られたら…考えただけでもぞっとする。未練たらたらな女だなんて思われたくない。見返すためにダイエットしたり髪型変えたり、先輩好みになるように頑張ってるんだから。
「あんたには関係ないじゃん!!」
「関係あるよ。俺えなちゃんのこと気に入っちゃった」
「!?」
「だからえなちゃんも俺のこと気に入ってくれるまで、俺の言うこと聞いてもらうから」
ほんとに奴は意味が分からない。
「手紙ちゃんと読んだわけ?あたしは先輩が好きだって書いてあんじゃん」
「でもその手紙は見せたくないわけでしょ?つまり先輩を忘れたい」
こいつマイペースの割に実は鋭い?とか思っちゃったよね。奴の言う通り、彼のことは正直忘れたい。忘れられたらどんなに楽だろう。彼はあたしにとってとてもおおき過ぎる存在だから。そのせいで前に進めないのが現実だし。
「大丈夫、俺、えなちゃんみたいに往生際悪くないからいくらやっても無理って分かったら諦めるし」
そう言ってにこっと笑う奴。可愛い顔しやがって嫌みな奴。やっぱりこいつ、好きになれそうもない。そう思った。けど今は奴に従わなければならない。これが悪夢の始まり。

その日から奴の部活やミーティングがない日の放課後や昼、もちろん朝も、あたしと奴は頻繁に一緒にいたりする。って言ってもあたしが連れ回されてるだけなんだけど。
今日は奴が来る前に家を出ようとして、おそるおそる玄関を開けてみる…やっぱりダメか。
「やっぱりダメでした」
奴はにかっと笑う。そして今日も強引にチャリの裏に乗せられてるあたし…しかも授業までさぼらせようとしやがったところを、命からがら逃げてきたところだ。
はぁ、久しぶりにホームルームに出たよ。まじあたしこのままじゃ上がれないんじゃないの…まじ憂鬱。
「おっレアキャラじゃん。今日はポチといないの?」
ポチってゆうのは奴、たくのことだ。あたしになつきまくってる犬みたいだからポチ。あたしの周りの友達はみんなこう呼ぶ。
「逃げてきた」
「ほんとあんたポチになつかれてんね」
友達達は笑ってる。いや笑い事じゃないんだよ、実際は…。


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