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官能の城
【女性向け 官能小説】

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官能の城(4)-2

(19)


ルイスと名前を変えたリチャードはマリアの家を出て
彼の国の城下の人々の様子や政治が実際にどう行われているかを
見るために出発しました。


マリアの父のヨーゼフは、この青年の真摯な態度に心を打たれたのです。
ヨーゼフはリチャードの希望を少しでも叶えるために、
息子のジョゼフをリチャードが家を出るとき、
彼を助け何かの役に立つようにと共をするよう命じました。


ジョゼフは妹のマリアよりも二歳年上の二十歳の若者でした。
牛飼いの彼は優しい心を持っていましたが
厳格な父譲りで正義感を持っていました。


父のヨーゼフは、今は牧場主となっていますが
昔は軍人として活躍し、
彼は息子にいつかは役に立つと言って武術を教え
彼にそれを修得させていたのです。


父はいざというときのために
息子のジョゼフをリチャードに付けさせたのです。


そしてリチャードは心から好きなったマリアという少女に
しばしの別れを告げてその兄と共に彼等の家を後にしました。


マリアの家にいたとき
リチャードはマリアの父のヨーゼフからこの国の現状と、
その乱れの元凶である汚職や癒着、
そして治安の悪さ等、早くそれらの手を打たないとこの国は滅んでしまう、
何とかしなくてはいけないと、聞かされていました。


リチャードは自分の目でそれらを見つめ、
自分の力でそれを直し、よりよい国造りをするために
やがて自ら成る王としての自覚を持とうと心に決めていたのです。


ジョゼフと街に出たリチャードは改めてこの国の現状の悪さに驚き、
若いとは言え将来この国を担う王子としての今までの自分の無知を
心から恥じるとともに、
この国の全ての人が幸せになるように
自分が政治をしなければいけないと心に誓うのでした。


リチャードとジョセフはマリアに見送られながら牧場を出て野を下り、
街の中に入っていきました。


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