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操れるかも! 操られるかも!?
【その他 官能小説】

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操れるかも! 操られるかも!?-26

第9話 『前夜の副作用』


 翌朝、俺は怒りに震える美奈子に叩き起こされた。

「圭ちゃん! 起きろぉ!」
 ボコーン
「いでっ!」

 俺は顔面に与えられた強い痛みで目が覚めた。
「……いっつぅ〜、なんなんだ?」
 俺がベッドの上で上半身を起こすと、制服を着てカバン
を両手で抱えた美奈子が側に立っていた。
「け〜いちゃん、お、は、よ、お」
 美奈子の目尻がつり上がっている。俺の頭に昨晩の記憶
が甦る。
「よ、よぉ、美奈子。夕べはうまくいったか?」
 俺は背筋に寒気を感じたが、努めて明るく話しかける。
 美奈子が頬を一瞬赤く染める。
 しかし次の瞬間、俺の頭頂部めがけてカバンが振り下ろ
された。
「ぐわっ!」
「昨日の恨みは忘れないわよぉ! パジャマとスリッパで
自転車に乗って夜中に大介ちゃんの家に行かされたんです
からね〜」
「ま、待て!」
「待て、じゃないわよ! 大介ちゃんが玄関に出てきてく
れたから助かったけど、大介ちゃんのおじさんやおばさん
が出てきてたら、夜中に男友達の家にパジャマで来る恥知
らずな女だと思われちゃうじゃない!」
「……で、で結局、大介とはどうだった?」
 再び美奈子の頬が赤くなる。
「大介ちゃんは……かくまってくれたわよ。パジャマのま
まじゃ帰れないなんて駄々こねてみたら自分の部屋に泊め
てくれたし……」
 ……なんだかんだ言ってチャンスを逃さない女だな……
「なんだ、俺のおかげでうまいこといったみたいだな」
 俺の安易な一言に美奈子の怒りが復活する。
「……そんなの、問題じゃないわ! すごく恥ずかしかっ
たんだからっ!」
「ま、まあ朝っぱらから怒鳴るな。少し落ち着け」
「……これが終わったら、ねっ!」
 直後三度俺の頭部にカバンが振り下ろされた。

「斉木家に代々伝わる力?」
「その通り」
「じゃあ、おじさんも?」
「ああ、持っている」
「やっぱり……エッチなことに使いました?」
「ふっ……若い頃はな」
 ……なにが若い頃は、だよ。最近も由希子さんに使った
んだろ、エロ親父……
 俺は顔面強打による鼻血をティッシュのこよりで止めな
がら、かすめた鍵を使って夜明けとともに俺の部屋まで殴
りにきた美奈子と、この騒ぎで起きてきた親父の会話を聞
いている。

「じゃあ、お姉ちゃんには使ってないんですか?」
 由希子さんとの関係に踏み込んだ美奈子の発言に親父は
あからさまに狼狽する。
「ななな、なんで私が由希子ちゃんに、そそ、そんなこと
するのだ。ははは……」
「……使ったんだぁ」
「そそ、そんなはず、なな、ないだろう?」
 ……親父、わかりやすすぎるぞ……
「……もしかして、力を使って無理矢理に、とか」
「そんなことはない」
 ……いきなりきっぱりと答えるなよ。まあ、俺もそうだ
ろうとは思うけどな。由希子さんの話し方からして……そ
れになんだかんだいっても親父がそんなことするとは思え
ない。
「……じゃあ、どんな風に使ったんですかぁ?」
「……それは言えない。大人の秘密という物だ」
 ……使ったって認めちまってるぞ、親父……
「けち。圭ちゃんと実験しようかと思ったのに〜」
「……大介はどうした……」
 俺が二人の会話に初めて口を挟む。
「……大介ちゃんの方が好きだけど、やっぱり圭ちゃんも
好きだし……」
「そんなこと言ってると大介にふられるぞ」
「……昨日の今日でふられたくないもん」
 ……とりあえず、昨日大介の部屋で何かあったのだけは
確かだな。しかし大介もいざとなったらやるもんだ。おば
さんたちに気づかれたらやばいだろうに。


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