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フェイスズフェターズ
【ファンタジー 官能小説】

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フェイスズフェターズ 一話「欲望の都市」1-2

「緊張しているのかい? それとも、君はいつもそんなにしゃちほこ張っているのかな?」


「いえ、緊張などしておりません。……ただ普段から、まるで男のようだ、とは言われますが」


 模範的なごますり人間ならば、ここで『猊下にお会いして大変萎縮しております』と言うだろうし、そうでなくとも少しぐらいは緊張していることを認めそうなものだが、この少女は何故か緊張していることを断固認めなかった。まるで、緊張していることを悟られるのは負け、とでも考えているようだ。


「はっは。そうか、まるで男のようか。私にはそうは見えないよ。シスター・リタ? 君は立派な女性だとも」


 聖職者としては似つかわしくない、まるで女を口説くかのような台詞に、リタは少し驚きの表情を見せた。それもそのはずで、この若き枢機卿ロタリオは辣腕家として有名であり、あるところでは絶大な敬意の対象となり、またあるところでは最悪の恐怖の対象になっているような男だからだ。リタのような少女が緊張するのも無理はない。


「さて、君は今日から私直属の部下になるわけだが、仕事の内容は聞いているね?」


 その問いに、リタは首肯する。当然だ。彼女が幼い頃から、ずっと聞かされてきたことだ。


「よろしい。では新人の君に、しばらくの間君の教育係として働いてくれる人物を紹介しよう。……入りたまえ」


 すると扉が開き、一人の女性がロタリオの執務室に入ってきた。栗色の髪を背中ほどまで伸ばした女性で、やや垂れ気味の目が優しい印象を持たせる女性だった。尼僧服でわかりにくくなっているが、かなりグラマラスな体型だろう。リタと違って。


「ニコ……ご無沙汰しております。シスター・ニコラ」


 顔を輝かせて席を立ちかけたリタが、目の前に枢機卿が座っていることを思い出して慌てて態度を取り繕った。ニコラとロタリオは示し合わせたようにその様子を見て笑った。


「ふむ、では紹介しよう。既に知己ではあると思うが、君の教育係を務めるシスター・ニコラ=バカウだ」


「ニコラです。貴方のサポートをすることになりました。よろしくね」


 ニコラはそう言って柔らかく微笑んだ。もしかすると、聖母というのはこういう人間だったのかもしれない。リタがぎこちない返答を済ませると、ニコラはリタの隣に座った。


「確か、リタは幼いときからニコラと親しかったのだな。では、既に君たちの『使命』についても説明しているのだね?」


「はい猊下。彼女が五歳の時に私が修道院に出向いて、それからの仲です。『使命』についても説明は済んでいます」


 既にロタリオは、『シスター』と付けることを止めていた。恐らくいつもこう呼んでいるのだろう。


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