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雪解け
【青春 恋愛小説】

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雪解け-3

「柊はさぁ・・・なんで冬が好きなわけ」
気を取り直してあたしは聞く。そういえば、何で今まで聞いたことなかったんだろう。1回ぐらい話題になってもよかったような事なのに。
「・・・・冬の次はさ、春じゃん?俺はあの春を待ってる冬の寒さが好きなんだよなぁ。がんばって耐え抜いた後の暖かさっていうか」
空を見上げる柊。雪みたいに真っ白で透き通るようなほっぺの肌をこんな近くで見るのは、今はもうあたしの特権でもあった。春を心待ちにする柊のきれいな笑顔を見ていたら、思わずいっちゃいそうになるんだよ。喉のへんまでもう出かかってるあたしの気持ち。

「変な理由」
「は?」
たぶん柊は生まれてこのかた変なんていわれたことないんだろうなって、ふと思った。
「待ってるのが好きなんて変。そんなだから、いつも嫌なこと押し付けられても耐えちゃうんだよ。それともマゾ?キモッ」
あたしがつっかかっても、大抵は笑ってかわす柊。今だって、またかよってちょっと呆れた顔してるだけ。
「いいじゃん。別に俺が好きなだけだしさ」
いつもならここでこの会話は終了なわけだけど。今日のあたしは引かなかった。
「変だよ。寒さに凍えて春を待つなんて全然楽しくないじゃん」
喉のへんまででかけて、ずっと塞き止めてた思いをぶちまける。
「お前それいい過ぎ。本気で怒るぞ」
そんなこといってても、まだまだ声は笑ってる。全く怒る兆しなしじゃん。
「怒れば?怒ったことないくせに。弱虫。いっぺんでも怒ってみなよ」
「おい。なんでそう最近つっかかってくんの?」
さすがの柊もだんだんムっとしてきたのか、ちょっと怒った声になった
「柊がいつも怒らんもんで。なんであたしだけが学年主任のおばさんとか調子よく柊に責任押し付けるクラスのやつらにムカつかんといかんわけ?」
「別に頼んでないってぇ〜」
調子の違うあたしに、柊は不思議な顔を向けながらも、その場を和ませようと明るい口調で言った。でもとまんない。今まで思ってたこと全部、でてきちゃう感じ。
「そりゃぁ、頼まれてないけど。柊だって怒ってもいいと思う。あたしは柊が泣こうが怒ろうが失望せんし。あたしのこと怒って殴っても、別にいいだよ?」
「なにいっとるの? ってか殴るのはないだろ・・・・」
話を明るく持ってこうとする柊。でもそうはさせません。今日はあんたのペースなんかに乗せられないよ。
「なんでそうやって、話そらそうとするかな? ぶつかり合えよバカ! 笑ってすまそうとせんで」
いつの間にかあたしは涙目になってた。目に溜まりかけた涙が、冷たい風にあたって凍える。
「それともあたしじゃぶつかり合う資格無い? あたしは柊に全部見せとるのに、柊はあたしに全然心開いてくれんし。あたし1人空回りじゃん」
必死にあたしが何を言ってるか理解しようとしてる柊。やっぱ、予想してなかったってことかな。あたしの柊へのこんな気持ちなんて。
「柊が告られたりするもんで、焦って、イライラして・・・。バカみたい・・・」
「え?」
柊が驚いた声を出す。
「!?」
自分自身に驚いた。やばい。あたし、こんなこと言うつもりなかったのに。言っちゃダメなのに。
「なんでも・・・ない。忘れて」
あたしは早足で歩き出そうとする。
「ちょ、待って。どういうこと?」
柊はあたしの肩をグッとつかんだ。強い力で。
「忘れてっつってんじゃん。気安く触んな!」
あたしが、柊に告白なんてするわけにはいかない。そしたらこの楽しい日々は終わる。・・・今のままでいい。このポジションでいい。だから、壊したくない。
「言ってよ」
うつむくあたしに向かって柊は真っ直ぐな声で言った。
逃げられない。
あたしはそう思った。あたしの肩を掴む柊の大きな手。何度も触れたい、触れられたいって思った愛しい手。柊の隣を歩いた日々を振り返ったら、それを失うのがとてつもなく怖くて手が震えだした。
覚悟を決めよう。2年間ずっといえなかった一言。昨日まで一生伝えることはないと思ってたあたしの気持ちを伝えるときがやってきてしまったんだ。これで、柊との友情も終わり――――――――


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