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『Summer Night's Dream』
【青春 恋愛小説】

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『Summer Night's Dream』その2-1

『怪奇!?学校の資料室に潜む謎の影』


よし。
これでいこうと思った。
学校への帰り道すがら、日向陽介はそんなことを考えていた。


『超常現象研究会』略して『超研』には水嶋信二という常にナチュラルハイな男がいる。学業優秀、スポーツ万能はもちろん、生まれや育ち経歴に至るまで何でもありのドン・キホーテ状態だった。おまけに顔も不味くはない。だが、いかんせんこの男。知性の代わりに理性が著しく欠如しているらしく、そんじょそこらの常識が全く通用しない。
その上、無類のオカルト中毒である。学校の男子生徒は皆水嶋を畏怖し、女子生徒は一部の物好きを除いて毛嫌いしていた。


そんな部長の発案で、『超研』の活動記録をまとめた号外的なビラが不定期に校内に撒かれることがある。
編集担当である陽介の苦悩は今に始まったことではない。

なにせ、書くネタにことごとく信憑性がない。
そりゃそうだ。
オカルトなんて手合いは、元々SF小説とかマンガの中のフィクションの所有物である。
現実ほど、期待はずれでつまらない筋書きはない。
だから、ありとあらゆる語彙を繰り出し、ありもしないような話に脚色を加える。テストの解答欄に水増しして、ほんの少し点数を上げてもらうのと同じように。
真実はいたって平凡で退屈すぎるから、ちょっと誇張したくらいがちょうどいいのだ。
それが、陽介の仕事だった。
本物のジャーナリズムだって似たようなことやってんだから、別に悪気はない。


陽介の家は駅から二十分ぐらい歩いた公道沿いにある古いアパートである。近所はパチンコ屋と車の整備工場ばっかりだ。
騒音けたたましいとはここの為にあるような言葉で、こんなうるさい所で暮らせる自分がタフなのか、それとも人間が案外頑丈につくられた生き物なのかはよく分からない。

陽介の生まれる前の話なのだが一応昔はウチにも立派な一戸建てがあったらしく、いわゆる昔ながらな日本家屋っぽい物が、ここから南に5kmくらい離れた場所に建っていたらしい。
そこなら学校に結構近いから、もっと朝寝坊ができたのに。
なんで売っちまったんだ。


自分の部屋にカバンを置いて、台所を覗くと、じいちゃんが一升瓶片手に一杯やっていた。


「おう、陽介。帰ったか」


酒くせー。
冷蔵庫から牛乳を出してラッパ飲みをする。


「今日は少し遅かったじゃないか。学生が寄り道はいかんぞ」


何十年代の話だ、それは。
陽介が母さんはと訪ねると、仕事だ、と返事が帰ってきて、父さんはと訪ねると、


「知らん。またどっかでパチンコでも打ってんじゃないのか」


それは自分の話か、と陽介は心の中で思った。
根が真面目な母とは違い、陽介の父はじいちゃん譲りの破天荒オヤジだった。
それというのもこの親子、平日の朝から近所のパチスロ屋に仲良く並び、昼間から一緒になって酒を飲み、日が暮れると夜に弱い年寄りを一人残し親父はどこかへ消えてしまう。
お前ら、毎日楽しそうだな。


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