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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈国王篇〉前編-3

城の中でもここは異質な場所だった。

ひんやりとした石畳の造り、あまり人の出入りがないことから靴音はやけに響く。サルスは数人の兵士を連れて倉庫の中を歩いていた。

きれいに整頓された長剣の1つを手にとって見る。丁寧に手入れされたものだが、サルスの表情は厳しかった。

「鍛冶師に手入れをさせてくれ。もう少し鋭く、魔物でも楽に斬れるようにと。」

兵士は返事をし、手に持っていた帳票に印を付けた。

「薬師には猛毒を用意させろ。兵士全員に行き渡る量を急ぎ準備するように。」

もう一人の兵士は返事をし、すぐに薬師の下へ走っていった。兵士が倉庫を出てすぐカルサとすれ違う。カルサと貴未は一礼をした後走り去った兵士を見送りながら武器庫に足を踏み入れた。

奥の方でサルスが武器を吟味しているのが見える。

「武器はこれだけか?」

「はい。先日の戦いで破損したものが多く、すぐ使用できるものはここにあるものだけになります。」

そうか。そう呟くとサルスは空の棚を眺めた。まだまだ奥に続いているのに、それに見合う数はない。

「足りないな。」

「他には兵士が常備している武器もありますが。」

「それでもだ。」

明らかに必要とする武器が足りていない。どうにかして手に入れなければ。頭の中で策を巡らせいくつかの案を見出だした。

「手が使える負傷兵を鍛冶場に集めてくれ。」

「鍛冶場にですか?」

突然の命令にサルスの意図が分からず兵士は聞き返してしまった。サルスは空の武器棚を眺めたまま答えた。

「鍛冶場を不休で稼働させ、武器の補強を急がせる。」

破損した武器を回収し鍛冶場に運ばせる事も合わせてサルスは指示をした。兵士は指示された内容を書き留め、返事をしてはいるものの表情は次第に曇っていった。筆が止まり、目は遠慮がちに、視線が彷徨いながらもサルスを見上げる。彼の顔付きは厳しい。

兵士は不安になり思わず視線を手元に落とした。そこには先程投げられたサルスの指示が記されている。この内容はまるで襲撃がまた起こるようではないか。しかも遠い未来ではない、ごく近い内に魔物の群れが押し寄せてくるような。

「どれだけの人数を動かせるか調べてくれ。」

深く考え込んでいたのだろう、すぐにサルスの声に反応することができなかった。急いで返事をして書き留める。

「分かりました。」

兵士が頭を下げたのを空気で感じ取るとサルスは相変わらず空の武器棚を眺めたまま口を開く。


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