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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈国王篇〉前編-2

「サルスを探している、いるか?」

カルサが通りすぎた後、エプレットは答えながら斜め後ろに付いて歩いた。

「いえ、サルスパペルト様は武器庫に向かわれました。」

「武器庫に?」

想定外の答えに反応し、カルサは顔だけ振り向いた。彼の視界に自分が入るようにエプレットはほぼ横に近い斜め右後ろに移動する。

「はい。そう仰っていたと聞きました。」

「そうか。」

武器庫に一体何の用があるのだろうか、考えるだけで表情が厳しくなる。いつのまにか民の部屋への扉を潜るところまで来ていた。さすがにこの辺りは活気がある。

女官も兵士も、一時期の慌しさこそはないが忙しそうに働いていた。廊下は掃除道具や工具を持った人達で賑わっている。部屋の中は怪我人と帰り支度をする者がいた。ここの怪我人は軽傷患者だけらしい。

「陛下!」

誰か一人の声をきっかけに全員がカルサに注目し、すぐに頭を下げた。

「構わない、続けてくれ。」

作業を止めて頭を下げ続ける民達に投げかけた。

「これで最後か?」

「はい。怪我人以外は明日にでも出発します。」

「分かった。エプレット、お前はもう下がれ。救護室で休んでこい。」

 カルサの突然の命にうまく反応することが出来なかった。カルサは振り返り目で訴える。それが何を伝えているか分からないはずが無い。何故その言葉を言われたか、本人が一番良く理解していた。

 光玉を使い疲れ果てたエプレットの体力が、こんなに早く戻っている訳ないのだ。2日、下手すれば3日は本調子にならない筈を、気力でカバーしていた。それを見抜かれていていたのだ。

「はい。ありがとうございます。」

エプレットの答えに頷きながらカルサは部屋の中を見回した。そんなに広くはない部屋に何百人という国民が避難していた。さぞかし窮屈だっただろう、無理をさせてしまった事にカルサは悔やんでしまう。

もっと考えなければ、こんな状態では実行できない。どこかに改善点はないかカルサはゆっくり時間をかけて部屋の中を見回した。

高くとられた天井は見上げると頭が肩に付くくらいだ。天井の細部まで装飾が施されているのが分かる。。

「上に何かあるのか?」

さりげなく横に貴未が付いた。カルサは態勢を元に戻し不思議そうな顔で貴未を見た。

「千羅に頼まれた。表だっての警護が必要なんだって。」

カルサは自分を指差した。貴未は頷き、お前の警護だと笑う。

「あいつはお父さんか。」

呆れながらもカルサの表情は穏やかだった。そしてもう一度天井を仰ぐ。貴未もそれに続いた。

「サルスは武器庫にいるらしい。」

「武器庫、ね。」


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